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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのsundayのレビュー・感想・評価

4.0
ディカプリオの新作とあって見る。事前に原作を読んだ。原作はジャーナリストの著者がこの「killers of the Flower Moon」事件を調べたルポ。本は主人公モリーの姉が殺された1921年、その後の調査、そして著者が2012年にモリーの孫やその他の子孫を訪ねて、と3つの時系列に沿って書かれている。映画は事件の部分に関してはほとんど本の通りに削ることなく再現されていた。調査の部分はさらりと、現在になり訪ねた部分は無かったが、著者が子孫に話を聞いて事件になっていない「死」がたくさんあったことがわかり、それは最初に不審な臨終の場面を何人か写すという形をとっていた。

先住民に対するアメリカの汚点の歴史ともいうべき内容、これをこのように映画にした、ということがすごい。そして映画最後ではそれがラジオドラマ化された公開収録場面が描かれる。そこでは解決したFBIの優秀さのみが描かれ、白人の観客は娯楽として笑っている、という最高に皮肉な描き方。この最後の部分にスコセッシ監督の意図を見た。白人は先住民の痛みは分かっていない、ということだろう。ラジオドラマは1932年で「ラッキー・ストライク・アワー」という番組との共同制作。1959年にはジェームス・スチュアート主演で「連邦警察」が作られ、この事件もとりあげられることになっていたとあった。


本は綿密な資料と調査で淡々と描かれていたが、映画はディカプリオ演じるモリーの夫スチュアートと、ロバート・デ・ニーロ演じるおじのヘイトの悪事がとてもあくどく描かれていた。


2023.10.30劇場で

芦田央:ディカプリオが先住民の視点で掘り起こした、米国の消された歴史
https://hitocinema.mainichi.jp/article/dicaprio-killers-of-the-flower-moon
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