すとても暖かくて優しい物語。
子供番組の司会で人気のフレッドの取材を通し、傷ついて頑なになっていた記者ロイドが家族とのすれ違いや、父親との確執を癒していく。
自分の中にあるありのままの感情を受け入れることでしか、人の心は癒されない。先に進めない。
逆に言えば、その勇気が持てたなら、乗り越えていける。
人気の彼の子供番組の中で語られる示唆に飛んだ言葉たちは、現実をきちんと教えつつも、常に優しい。
時に大人だって難しくてできないことはあるんだ、と子供たちにきちんと伝えるし、自分だって普通に怒りを感じることのある人間だと、変に聖人君子ぶることもない。
そして、そんなフレッドの言葉や態度を通して、ロイドが自分の感情と向き合い、乗り越えて、赦す心を手に入れて家族との関係を修復するストーリーが、これまたフレッドの番組として描かれています。
実在のモデルになっている司会者さんは私は存じ上げてなかったので、最初はこの「大人に向けたストーリー」の中で「いつもの子供向け番組」が出てくる入れ子構造にちょっと戸惑った部分はあるんだけど。
結局は、彼は大人も子供も救ってしまう人なんだなってこと。
どこかにこやかで穏やかではありつつも、飄々としたフレッドを、トム・ハンクスが見事に演じていますし、実在の人物ということで、実際にアメリカの番組で見かけるTVショーのような作りや、ちょっとざらついた映像も味があって好きでした。
シンプルと言えばシンプルだけれど、とても大切なことを伝えようとしている映画ですね。
赦すって大事。でも難しいよね。