りっく

ベルベット・バズソー: 血塗られたギャラリー​のりっくのレビュー・感想・評価

3.2
呪われた画によって、それに関わる人間が次々と不審死を遂げるオカルトホラー調な一作だが、そこにダンギルロイは絵画という大金が動く割に、価値や金額は絶対化されない脆く危い世界の中で蠢く胡散臭さの塊のような人間たちの欲望や策略や利害関係といったものを描くことで、芸術をモノとしか扱えない人間たちが、モノに復讐させる皮肉を効かせる。

だが、真実を探ろうとするジェイク・ギレンホールが主人公ではあるものの、あらゆる人間に平等に死の可能性があるという意図で、あえて特定の登場人物に肩入れしない描き方をしているため、衝撃的な事象が起っているものの、いまいち映画的な面白さは減じられている。大傑作「ナイトクローラー」のコンビ作ということで否応なしに期待度は上がるが、やや物足りない出来だと言わざるを得ない。
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