辺り一面に漂う硝煙と血の匂いが、私を現実に引き戻す。
自己を犠牲にしてまで国に尽くす若者たち。この手で葬ってきた多くの異国の兵士たち。戦士たちはみな前へ前へと進んでいく。まるで死を厭わない、国のために戦うことは誇り高いことだから。
戦っても戦っても、私には何も無い。勲章と称号だけが増えていくだけ。私たちはこの戦争で、失われた命の数以上の何かを得ることができるのだろうか?
戦争で失ったものは大きい。銃で脚を打たれてからは杖なしで生活できなくなった。愛しの妻も亡くし、私に残るのは最愛の息子だけだった。守るべきものはもう、息子と妻の遺言だけだ。
どうか、息子が今後戦争を見ずに済む世界になりますように。息子が戦わずにいられますように。
そう祈ったとて、世界は何も変わらない。それならば私が‘荒くれ者’になろう。そうすることで平和が訪れるのであれば。
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「キングスマン」が生まれるまでの物語。
ガワは軽快にしつつも、中身はずっしり重いです。
わたしたちがいかに平和に生きているのか、また戦争がどんなことを及ぼすのか。キングスマンがなぜ必要だったのか。
そこに至るまでの決意をしっかり見せてくれます。
史実の人物が出てくるのも特徴の一つ。
ラスプーチン、見た目通りの不気味さですね!謎の僧侶、と言うだけあって得体の知れなさは作中随一です。
そして、オックスフォード公のかっこよさ。ストーリーの構成的にも、観客はオックスフォード公の目線で物語を見ることになります。途中、感情をがっつり揺さぶられるところもあり…。
次回作もあるのかな?という終わり方。期待です!