いしはらしんすけ

インソムニアのいしはらしんすけのレビュー・感想・評価

インソムニア(2002年製作の映画)
3.8
前作「ミミック」で一躍脚光を浴びたクリストファー・ノーランによる同名のノルウェー映画のリメイク。

オリジナルのノルウェー版は未見なので、どの程度改変されてるかわからんのですが、はみ出し刑事と変態インテリ犯人を軸としたサイコサスペンスという概要は多分にジャンル的。

後の「ダークナイト」にも通じる追う者と追われる者の鏡像的な関係や過去の自身の言動に憧れる者に追い詰められていくという構図も目新しさこそない一方で、安定した面白さを供給。

凄腕なんだかポンコツなんだか、だんだんわからなくなってくる主人公、ドーマーさんと敵役の作家、フィンチの存在感はさすがは名優同士といった風情。

パチーノ演じるドーマーが醸す微妙なおかしみとロビン・ウィリアムズ演じるフィンチの不気味さの滲出は、ノーランらしいバランスと思えなくもないかな。

正直引いて見てると両者とも「何やってんのよ」ってな言動が多発する展開だったりするものの、そこはタイトルそのものの「だって不眠症だから」でクリアできてしまうのもぽいっちゃぽいし、強みっちゃ強み。

逆に脚本に絡んでない分、難解風味が一切ないのがノーラン作品としては異色と言ってよく、熱心なノーランファンではない身としてはぶっちゃけ一番見やすかったり。笑

そして職人的な映像表現テクがストレートに堪能できるという意味でも、個人的には過去一好感度の高いノーラン作品かもしれません...ってノーランファンの方、なんかすんません。