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彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールドのmajiziのレビュー・感想・評価

4.5
第一次世界大戦の英国兵たちを撮ったドキュメンタリー。モノクロからカラー映像の再現有り。

リアルとリアリティの決定的な違いがあり、実話に基づいていようが、作り物の映画がどうしても描けないものがそこにはあり、非常にショッキングでした。

国の宣伝に乗り遅れるなと言わんばかりに入隊し(しなければ臆病者として女性からその印である羽を渡される)入隊したら、鬼軍曹や軍の規律に厳しく縛られる。
まだ18にもならない若者たちがほとんど。

最初は遠足気分で楽しんでいるも、死と隣り合わせの過酷な現実が彼らの感覚を麻痺させていく。

ドイツ兵捕虜の姿もたくさん映っていて、負傷し怯えている姿はとても痛々しい。敵に対する感情は、前線の死闘をくぐり抜けた兵士たちにしかわからないものでした。

第一次世界大戦からは戦い方がガラリと変わり、戦勝国である英国も相当に疲弊し、無事に帰国した元兵士たちへのひどい扱いにはやるせない思いしかありません。

同調圧力とプロパガンダの繰り返し。何にも変わらない世界。

この時期になると日本は敗戦国であり、GHQの洗脳教育の影響によって、いまだに悲惨さのみを殊更に強調して戦争を語ることしか出来ません。でも根本はそこじゃない。そんなことをしても戦争は避けられない。戦争を始めないためには、徹底的にそれを自体を学び、研究しなければいけないと思います。そういった意味でも、このドキュメンタリーは非常に良作だと思いました。
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