十一

機動戦士ガンダム 逆襲のシャアの十一のレビュー・感想・評価

4.4
何度目かの再見。群像劇の描き方、複数人物のさばき方が巧い。AとBが何かをしている場面で、Cが何をしていたのか。画面上に三人いた場合、描くべき関係性は組み合わせで3組存在するが、いずれのシーンでも、個々の関係を意識したレイアウトと芝居をつけており、ワンカットの情報密度が高い。空間的な説明も丁寧で、宇宙と地上を行き来するシーンの繋ぎなど、俯瞰から段階を追って丁寧にミクロな場面をマッピングしており、シャアとアムロが反目しながらも認識を共有している、地上と宇宙の分断を俯瞰するニュータイプの視点を、観客にわかりやすく提供する。クエスの子供じみた言動に苛立ちを感じながらも、どこかで納得せざるを得ないのは、そのような演出の賜物だろう。そして、そうやって宇宙規模に風呂敷を広げた政治劇を、結局は、ララァを巡る男の意地の張り合いのような、パーソナルな問題に着地させるバランス感覚がまた凄まじい。
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