おたふく顔の福ちゃん

Fukushima 50のおたふく顔の福ちゃんのレビュー・感想・評価

Fukushima 50(2019年製作の映画)
4.1
2020年3月11日、東日本大震災から9年。
たまたま今日まで生きてこられた私達にできることは、震災のことを忘れない、風化させないことだと思う。そして今もなお除染作業が行われている福島第一原発や町の存在を過去のものにせず、関心を持つこと。自然現象を甘く見ず教訓にしていくこと。.
少しずつでも自分ができることをやっていきたい。.
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正直事実に基づく"フィクション"とはいえ、こういった題材を扱う映画の感想は、言葉や表現を選ぶ必要があると思っています。でも9年たった今だからあえて映像にして映画にして、やっと私達のところに届いた作品。世界で唯一の被爆国である日本で、今も苦しんでおられる方々や故郷に帰ることができない方々がいらっしゃる現状で、この映画を作るのは並大抵のことじゃなかったと思う。だからこそ、震災当時中学生で事故についてほぼ何も知らなかった私は、この映画から何かを感じたかった。.
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政治的観点や現場と総理官邸の差などについて、本作はあくまでも事実に基づくフィクションなので、エンターテインメントとしてのおもしろさが付け足されている点について賛否両論あると思います。だからといって、そんな事実はない!とか、政府の対応が明らかに悪く描かれている情報操作だ!!と言う意見はこの映画の伝えてくれている大事なことから少しズレている気がする。.
そういう事ではなく、困難を極める中でどうやってそれを乗り越えようとしているのかその姿勢だったり、人が人を大切に想う気持ちだったり、今の生活に心から感謝することだったり、人間の自然現象に対する慢心などあってはならないことだったり、実際にあの日のあの時TV越しにみていた原発内で何が行われていたのか、休む間もなく命を懸けて作業を続けてくれた方々に対する敬意、それらを知る、感じることに意義があると私は思う。.
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そして、それと同時に福島の今を見ること。.
2020年 復興五輪として、聖火リレーは福島県双葉町からはじまる。.
これだけを見ると復興が進んでいるように見えるも、実際は聖火ランナーが走る沿道だけが整備されており、沿岸部の方には除染廃棄物の入ったフレコンバックや家を解体したごみが積まれており、うわべだけ飾り立てても復興は遠く「偽りの復興PR」と話す地元の人もいる。これらに関してはさまざまな意見があると思うが、これからも震災のことを過去のことにせず、関心を持ち、生きていきたいと思う。.
そして1日でも早く福島が復興し、町の人々が慣れ親しんだ故郷に帰れる日ことを願っています。.
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