おたふく顔の福ちゃん

スウィング・キッズのおたふく顔の福ちゃんのレビュー・感想・評価

スウィング・キッズ(2018年製作の映画)
4.3
「またやってくれたな、韓国映画。」

韓国映画の熱量に毎度ならがら完敗してしまう。
強烈で衝撃で情熱的な作品。ダンスの魅力と可能性をどこもまでも見せてくれる誇らしさと全てを根こそぎ奪い焼き尽くす戦争の恐ろしさ。綺麗事で終わらないのが韓国映画、戦争。そのリアルが見事なまでに描かれていた。.
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見どころはなんといっても、めちゃくちゃレベルの高いタップダンス。もはやショーケースです。役者やアイドルの方もイチから練習してあのレベルまで持っていったなんて、本物を追求する熱量が凄過ぎる。正直、舞台や映画のダンスシーンではダンスレベル低くくて興ざめてしまうことがあるけど、本作はちゃんとタップダンスでも魅せてきて、かつそのダンスに感情がばんばん乗ってるから本当に素晴らしかった。この作品において、ダンスは言葉のない台詞、対話だった。上映時間133分の約1/3がダンスシーンだそうで、タップダンスを習得しレベルを上げ、かつあそこまで感情を見せられる役者さんまじで凄過ぎて完敗です。.
主演の彼はEXOっていうK-POPアイドルらしいけど、天は彼に二物を与え過ぎてる。彼の並々ならぬ努力に尊敬しかない。.
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そして個人的には、中国人ダンサーで栄養失調のシャオパンに心奪われた(笑)彼なんなん本間(笑)ルックスからダンスの実力とずっと一定のあの顔、私的に大優勝でした。登場シーンなんて、本当に劇場に一人やったらめちゃくちゃ声出してたくらいに最高やった。ダンサーならたぶん共感してくれると思うけど、あの手の人はホンマに大好き。.
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登場シーンと同じくらいに好きで、ぐっと来たのは一度スウィング・キッズが解散してしまった時に、フェンス越しにシャオパンとカン・ビョンサムがダンスで対話するシーン。あの場面はただただ良かった。


寄せ集められたメンバーは、それぞれダンスをする理由が違うけど、根底には "I want just dance" が共通してあった。ただ踊りたい。そんな情熱とダンスに魅せられた最高のチームにどこまでも期待し、ハッピーエンドをやっぱり望んでしまった。
けれど戦争はダンスという一筋の希望も、スウィング・キッズも、一瞬にして全てを奪っていった。終盤はとても悲しく直視するのが辛過ぎたけれど、あの時の5人が確かにタップダンスで繋がり踊り合い絆を深めていたその事実とその瞬間の愛おしさは消えはしない。

133分色っんなことを感じて、一言で言えば喜怒哀楽の最強ジェットコースターみたいな作品だった。