おたふく顔の福ちゃん

ロマンスドールのおたふく顔の福ちゃんのレビュー・感想・評価

ロマンスドール(2019年製作の映画)
3.9
 愛し合っているのに嘘と秘密を抱えて暮らしている2人がとても人間っぽく愛おしい"スケベ"なロマンスでした。

性と生。性愛と純愛。をドールが上手く繋ぎ合わせてくれています。これは決して悲劇ではなくて、ちゃんと夫婦のラブストーリーだったと思う。
ドールが完成するにつれて、変化していく妻の姿、最期まで愛し合う2人。完成したドール"そのこ"に対して社長がかけた言葉に、ほんとうに哲雄の愛を感じ、胸がグッと痛み涙が流れた。これまで職人としてラブドールを作り続けていた哲雄が、完成させたドールは紛れもなく愛に溢れた"ロマンス"ドールだった。

個人的には、つなぎ目のない一体型のドール"そのこ"が金属の型から外され、哲雄が型からはみ出したシリコンをハサミで丁寧にやさしく切っていたシーンになんだか園子への愛を感じてしまって、とても好きでした。


 そしてこの物語はもうこの役者じゃなきゃ成り立たないんじゃないかって思わせてくれる高橋一生さん、蒼井優さんのお芝居の自然さ。確かにそこに哲雄と園子は実在していた。こんなにも自然に映画というフィクションの中で"本物"を見せてくれる役者。余計な説明台詞のない脚本とようかんの食べ方やまばたきの仕方などで絶妙な心情や関係性を見せる演出、演技、本当に流石でした。

またドール職人の先輩(きたろう)とのコミカルなやりとりが穏やかで笑えて楽しかった。



※ここからただのファン目線になりますが、、、、(笑)

ネバヤン勇磨くん(弟)と哲雄役の高橋一生さん(兄)の共演が胸熱過ぎました。

初めて劇場でロマンスドールの予告を見て、主題歌・劇中歌がnever young beachって知った時に、あぁあああもう絶対見に行く!!!ってなったから、エンドロールで主題歌「やさしいままで」を聞きながら "高橋一生" って文字が流れた時のエモさといったもう、、ほんと胸が高なった。

冒頭の物語が動き出す良い場面で、ネバヤンの劇中歌「ららら」が流れるあの感じ。物語にフィットしてて、更に物語を加速させる音楽に、、うぁぁああああって静かにめっちゃ興奮した。

主題歌「やさしいままで」も、ネバヤンらしくて勇磨くんらしくて、かつ物語の余韻をそのまま縮小して保管したみたいな歌で最高でした。いつものライブみたいに横揺れでスクリーンを見てた時間がとても心地良かったです。


個人的良作。