おたふく顔の福ちゃん

ジョジョ・ラビットのおたふく顔の福ちゃんのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.3
当時のナチスドイツの残酷さやナチズムの洗脳の実態が子どもの目線で忠実に表現されており、当時の子ども達にとっては当たり前だった世界を垣間見た。コメディではあるが当時の真実の姿、ユダヤ人の吊るし上げや銃撃戦、家族の死など戦争の恐ろしさ残酷さもしっかりと見せつけれらた。

ばりばりナチズムの少年が、当時迫害されていたユダヤ人の女性と出会うというなかなかな驚きな脚本だけど、このショッキングとも言える2人の出会いをきっかけに変わりはじめるジョジョの姿に、最後は人間愛を感じずにはいられなかった。
ジョジョの愛は、ユダヤ人の女性をかくまっていることが知れたら生きては居られない時代に、一人の人間としてユダヤ人を尊重し保護していた母(ロージー)の影響。時代や世間に流されず、自分の信念を貫く強くて楽しくて美しくカッコいい母、ロージーの人間愛は息子へきちんと受け継がれていた。

綺麗なモノだけを見せるのではなく、恐怖やリアルも息子に見させる経験させる母。これが現実だと。悲しみから目を逸らすなと。
現実を見た上で、どんな状況でも自分の信念と良心に従って自分らしく艶やかに生き抜くロージーには本当に愛に溢れた人だった。ロージーの背中で語る感じが本当に、超カッコ良かった。

作品中に散りばめられた数々の人間愛に心が震えずには居られない。

すべてを経験せよ
美も恐怖も
生き続けよ
絶望が最後ではない

リルケ