ほ

Fukushima 50のほのレビュー・感想・評価

Fukushima 50(2019年製作の映画)
3.8
渡辺謙のオーラが凄まじかった。上手い…と唸らざるを得ない。
映画としては思ったよりもスッキリしていて嫌な感じはしなかった。でも、状況だけでかなり緊迫感の出る題材ではあるから、演出は最小限に抑えて硬派なドキュメンタリー仕立てにしてもよかったのではないかと思った。特に音楽は、観客がちょっと物足りないと思うくらいでいいのでは。今の観客は過剰な演出に敏感な人も多いと思うが…どうだろう。

自分は震災当時小6で福島原発で何が起こっているかよくわかっていなかったし、それから9年間東京でのうのうと生き、大して調べようともしなかった。そういう人間でも冒頭で緊急地震速報の音を聞いた時には悪寒が走り恐怖が蘇った。この映画がどういう意図で誰のフィルターを通して語られているにしろ、すべての人に震災の記憶を呼び起こし風化させないよう訴えかける力はある。
「福島原発を命を懸けて守った人々がいる」ことを知る以上に、「こんな民間の会社員に命を懸けさせてしまった事故を起こした原発を今後どうしていくのか」という未来のことを考えるきっかけとして、この映画を意義のあるものにしていかなければならない。
ほ