ぴよぴよ

Fukushima 50のぴよぴよのレビュー・感想・評価

Fukushima 50(2019年製作の映画)
3.8
世界中が崩壊するくらいコロナで揺れてる今、この映画を観て、僅か9年前にも同じ危機的状況があったんだと、改めて思い出した。

あの時…津波に襲われる街や、爆発する原発を見て、もう日本はおしまいだと思った気持ちが蘇ってくる。

今医療現場で働いている方達のように、自分の命を顧みず、その危機を救おうとする人々が居るからこそ、こうして今も私達は生き続けていられるんだ。そんな思いをさらに強くする"Fukushima50"

Fukushima50とは、被曝の危険に晒されながら、原発に残って作業を続けた作業員達の呼称だという。

次々と襲い掛かる困難。目に見えない放射能の恐怖は、今のウイルスにも似ている。そんな中、黙々と作業を続ける作業員の姿が、まさに今コロナの医療従事者と重なる。

ベント、メルトダウン、炉心、冷却水、トモダチ作戦…あの頃耳慣れた言葉が飛び交う。

震災前、福島の海沿いの街に2年間住んだ事がある。原発から見た雄大な初日の出の風景が忘れられない🌅

ラスト、佐藤浩市が見上げる富岡町夜の森の美しい桜のトンネルも懐かしい🌸


この作品は賛否両論あると言う。美化している、全てを自然のせいにしている、事実とかけ離れた描写…などなど。

確かにそれもわかる。未曾有の大惨事なのに、心を抉る伝わり方が足りない気はする。でもあれから9年…あの街に住んでいた私でさえ、東日本大震災は遠い出来事になりつつある。25年前実家近辺を襲った阪神大震災もそうだ。

人間は強くて賢い。力を合わせて困難に立ち向かおうとする。でも弱くて愚かだ。同じ間違いを起こす。

だからこうしてあの大惨事を思い出す事で、二度と繰り返してはいけない問題点や検証点も浮かび上がってくる。その為にも、この映画が作られた意義はあったと思う。
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