たいてぃー

ばるぼらのたいてぃーのレビュー・感想・評価

ばるぼら(2019年製作の映画)
3.0
「黒手塚」と呼ばれる手塚治虫の大人向け漫画の映画化。現実なのか妄想なのかもよく分からない。めくるめく感じの映像で、破滅的なジャズが流れる。
前半は、ぞくぞくさせる展開の連続。都会の薄汚れた地下道で登場のばるぼら(二階堂ふみ)。そこに小説家美倉(稲垣吾郎)が現れ、自宅へ連れて行く。
美倉はブティックで店員(片山萌美)と絡み、その後、料亭の庭で婚約者(美波)とも絡む。その最中にそれぞれが変体する。抑圧からくる倒錯思考なんだろうけど、ちょっとついていけない。そこにばるぼらが現れ、助ける。まあ、その他色々あって、美倉はばるぼらに惹かれていく。
二人の結婚をめぐって、ばるぼらの母親(母親代わり?)ムネーモシュネー(渡辺えり)が登場。大仏ヘアにド派手な服。ギャグに走ったってことか。
その後、二人は逃避行するが、間延び感が感じられた。というか、ばるぼらの裸体がこれでもかと出てくるから、ストーリーはそっちのけになってしまう。
役者では、やっぱり二階堂ふみ。本作と似たような役をどこかで観たな、で浮かんだのが「私の男」。Filmarksの似ている作品にもあった。こんなファムファタール役でも素養があるんだね。
美倉担当の編集者、甲斐加奈子役で石橋静河も出演していたが、あまり目立たなかった。ばるぼらに対比してて、献身的だけど欲もありって感じの役。上手く演出すれば、彼女の魅力がもっと出たんではって気もして、ちょっと残念。
美倉役の稲垣吾郎。体張ってるね。「半世界」も良かったけど、本作も。何でも熟せる役者になってきたね!

(ここからはネタバレ含むです。)
ラスト近くで、あっと驚くシーンがある。所謂「死姦」ってやつ。これは引いたな。原作でもあるようだけど。美倉のばるぼらに対する愛情の表れか、それとも異常性欲者の行動ってことか。三池監督の「ビジターQ」でも、そんなシーンがあったのを思い出したけど、あれは、はちゃめちゃさが売りの作品だったし。本作では、向いてないよ!