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オオカミの家のKtoのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
4.5
見たことない表現が炸裂し続ける、非常に前衛的な芸術映画だった。スパイダーバース、不思議の国のアリス等と同様に、今後アンダーグラウンドなドラッグパーティでアンセム的な映像となると予想する(知らんけど)。

●映像の芸術性にひたすら浸る作品
壁に絵を描いて消してを繰り返し、壁画としてアニメーションを作るという発想に驚いた。その後、不気味な造形の立体物が徐々に人の形を成していく表現も恐ろしい。

恐ろしいながら、映像として非常に芸術性が高く、どこを切り取ってもRadioheadのMVとして機能し得るクオリティだと感じた。実際にThomYork率いるThe SmileのMVも作っているらしい。(こちらのMVは同時上映のLos Huesosに似ていると思った)

●背景について
「コロニアディグダの幹部がプロパガンダ用のアニメーションを作ったら」という発想で作られた作品らしい。その点では同宗教コミュニティの暗い歴史について、簡単にでも予習をしていった方が良いだろう。

コロニアディグダは、ジャニーズやマイケルジャクソンと同様に、少年への性的虐待を「健康志向」や「楽園」という明るい修飾で覆い隠してきた、独裁的な性格を持つ宗教団体による支配区域の名称である。様々なHPに詳しい記載がある。カルト宗教団体に特有の、一面的な価値観を惜しげもなく布教してくる感覚とか、映像そのものよりもゾッとする。

言語はスペイン語なんだけど、どこか舌足らずな発音で語彙も乏しくて、平たく言えば「バカそうな」喋り方をしている。これは実際にコロニアディグダが、子供達に強制労働や性的労働を科す一方で、教育機会を与えなかったことを反映しているのではないかと推測した。
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