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人間失格 太宰治と3人の女たちの8637のレビュー・感想・評価

3.9
罪深い映画だなぁ... 恋愛の上級者達が落とし落とされ堕ちていく、愛に毒された職業生活。スキャンダルが罷り通る世の中。家庭を差し置いてまで好きに恋愛して、欲望の赴くままにぶっ壊しきった太宰治と来ればどうだ。酒豪で貪欲で薄情で、批判と革命にしか生きない。求められて悩んだ挙句、というスタンスを取り、渋々と堕ちて行こうとするように見える。
彼を慕う女たちは、賢明だけど愛人になろうとしているのだ。そして彼女の言葉すら借りて、今でも新しい愛人を釣ることを止めない。「斜陽」は知っていても「斜陽日記」は知らなかった。
死にゆくその時に、手首を切り落としたくなるほどの生への気力さえあれば。

そういえば、戦後一年でここまで復興するものなのだろうか。昭和的な外観に蜷川実花監督の画的センスが重なって特段美しい瞬間がいくつもあった。思えば監督の映画って「Diner ダイナー」しか観てないな。題材的にその時のようなダイナミックが作れないのは分かるが、入れ込み過ぎなシークエンスが多かったな。まぁ、その美しさを観たくて観てるんだけど。
終盤にかけては二階堂ふみと成田凌の演技合戦とも化していた。
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