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ジョジョ・ラビットのKotaのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.7
“愛は最強。”

一足先に東京国際映画祭で今年一番映画に出会った。2019年トロント国際映画祭観客賞、これが映画だよ。Foxサーチライトロゴの鳥肌からエンドロールの余韻まで。最近シリーズ物の映画が多かった事もあり、この二時間という箱の中で最大のセンスとメッセージを発信しようとする姿勢に泣いた。あぁ、ありがとう。

監督、脚本、出演を務めたタイカ・ワイティティの才能がスクリーンから溢れ出る。“ムーンライズ・キングダム”のような雰囲気、戦争とおとぎ話の絶妙なバランス、笑って泣いて感情はぐちゃぐちゃ、戦争映画の概念を根本から変えるように革新的。この映画はナチが悪いとか、ユダヤに同情しろとか最早そんなことがテーマじゃなくて、人間の滑稽で愚かな本質とそれでも尚、愛を信じてしまうという根本的なことだと僕は思う。

特に述べたいのは、スカーレット・ヨハンソンの本気を見たこと。彼女は最近アクション映画で活躍していたから、やっぱりこういう飾らない演技力を見せつけられると改めて素晴らしい女優さんだなと思う。食卓のダンスと、川辺での会話は2回目を観たらそこで泣く。靴へのフォーカス技法には本当にやられたし、劇場全員が息を止めた瞬間だった。

主演を演じたロマン・グリフィン・デイビス君の破壊的な愛おしさが映画全体を包み込んで、この尖ったテーマとは思えないほど心があったかくなる。エンドロールへの入り方は”そうくる”と分かってはいたけど、良すぎてもう胸が苦しい。4.5以上の点数をつけたの新作は“君の名前で僕を呼んで”以来2年ぶり。オールタイムベストに入るような映画がまた一つ増えた、これだから映画はやめられねぇんだ。アカデミー賞頑張れ!
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