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ギレルモ・デル・トロのピノッキオのchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

5.0
子供にとっても大人にとってもずっと忘れられない映画になるだろう素晴らしい作品!オスカーに愛される男ギレルモ・デル・トロ監督作品の中でもずば抜けた出来なのはもちろん、驚くなかれ「星の願いを」を有する本家ディズニーを超えたといってもよいのでは?「限りある命の尊さ」をメインテーマに、反戦や親子愛など様々なサブテーマを組み込みながら、それらは全く渋滞することなくメッセージが一つ一つ心に沁み込んでいきます。

作り手の作品やそのメッセージに対する強い思い入れが感じられ、魂がつまった映画になっています。だからこそ、大人も子供もそれぞれの消化の仕方ではあっても、作品にあふれる心のこもったメッセージをしっかり受け取ることができるのではないでしょうか?

ギレルモ・デル・トロ監督特有のダークでやや気持ちの悪い造形がどうなんだろうと少し不安がありましたが、心配ご無用。上手く子供向けに脚色されており、むしろそのダークさやキモさがキッズの皆様の好奇心や笑いのツボを刺激するのに効果的に働いています。

ピノッキオの澄みきった歌声が本当にきれいで心が洗われる!お気に入りのキャラはクリケット。ユアン・マクレガーが素敵な歌を聴かせてくれるのはもちろん、いつも散々な目に合うのがかわいそうなのにニヤッとしてしまう😋。

冒頭のカルロの死に始まり、ピノッキオを中心にゼペット、キャンドルウィック、スパッツァトーラ。それぞれのキャラクターにスポットライトが当たり胸がいっぱいになるシーンが用意されているのも、一つ一つの命を大切にする姿勢が感じられますね!

企画~製作が長期にわたっているため意図的ではないはずですが、現在の社会情勢を鑑みるとこのタイミングで公開されたことには運命を感じます。全ての人に観てほしい作品です。

アカデミー賞長編アニメ部門の受賞は、本作でほぼ確定といってよいのでは?恐らくライバルは、社会現象となった人気youtube動画の長編映画化Marcel the Shell with Shoes On (アニメ部門に該当するか不安視されていましたが大丈夫そうとのこと)、試写での評判がすこぶる良い「長ぐつをはいたネコと9つの命」。前者は熱狂的な支持者が多いもののアンチも一定数、後者はなんだかんだシリーズ物。

近年同部門を独占し続けているディズニーは、まさかの箸にも棒にも掛からないといったところで、そもそもどの作品が入るかさえもわからない... ギルレモ・デル・トロは異様なまでにオスカーに好かれてますし、同監督の正直駄作だった「ナイトメア・アリー」でさえ作品賞にノミネートされちゃうのだから、ウクライナ情勢ともハマるしひょっとして作品賞もあり得るかも?

まぁそんな俗っぽい話は置いといて、限りある命一つ一つが大切にされる世の中が実現されることを願って止みません。本作は間違いなくその一助となるはずです。ぜひ鑑賞を!
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