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天気の子のHrtのレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
4.0
どことなく数々のジブリ作品を想起させるカットにテンションが上がる。
陽菜が意図せずとも自分の身体を売って稼いでいるのは都市部の未成年の貧困を描いてるように見えたし、主人公たちが嬉々として食べているものはジャンクフードの類というのも少し胸が痛くなる。
警察が分かりやすいまでに悪に置かれているところは少し気になったものの、現実世界でも助けが必要な未成年の役には立ててない。
それだけでなく徹底して世界は主人公たちに厳しくあたる。
この状況下での最後の選択は選択にすらならないだろう。
10代がどちらを選ぶかなんて決まってるようなものだ。
大切な人がいなくなってしまったのにその痛みを自分以外が知らない。
それに耐えられるほど彼らは世界に恩恵を受けていないのだ。

経済格差のメタファーとしての(2021年以降の)東京の沈没は、そんな彼らを通しても一貫して描かれたものだと思う。
そしてラストは誰もが指摘している通り。
このタイミングでデヴィッド・フィンチャーとも共振する新海監督の参照の広さに唸った。

音楽も本作では控えめかつ効果的にRADWIMPSが聞こえてきた。
いわゆるアニメ的外連味もありつつ、重要な場面で音楽に任せっきりにならないのが却って感動を増幅させる。
バンドと新海作品が深い所で繋がっているからこその作品であり、次回作どうするのかにも興味が及ぶ。
こうなってくると切り離せない気もするがそれは作風にもよるだろう。
天候や災害の規模をモチーフにするなら3部作もあり得ると思う。
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