観てきたよ。
だが、どう言えば良いのか、とても残念な仕上がりだったよ。
少し詳しく述べておくよ。
サム・ライミ監督。
以前からあまり才能を感じられない監督だったが、今回の映画を観て確信に変わったよ。
マルチバース(多元宇宙論)は、無数の宇宙(空間や時間など)が存在しているだけであろう。
我々の宇宙に存在しているモノが他の宇宙では異なる形や性質を持って存在していたり、あるいは生存しているわけではないし、そう考えるのは、あまりにも自己中心的に過ぎるであろう。
我々は全宇宙の主役ではないよ。
取り分け、今回、ヴィラン役だったワンダだが、あまりにも身勝手で利己的すぎて、彼女はまるで生まれながらの悪であるように感じられたよ。
ワンダヴィジョンでもそうであったが、ヴィジョンが誠実で公平で利他的な人格者であるのに対して、ワンダは常に自己中心的であったが、それが今回、そのまま映画に雪崩れ込んでしまっていたよ。
誰しも、今の人生とは違う、別の人生を生きてみたいと思うこともあろうし、自分が今の人生になってしまった原因が、自分以外の他者にある、と考えることもまた人情であろう。
だが、生涯、子を授からずに生を全うされた女性たちは数限りなくおられるよ。
産まれながらに子を授かれない体だったり、病気や怪我によって、不本意にも子を授かれない体になってしまわれた女性も数限りなくおられる。
あるいは、愛する人を、他の人たちのために失ったり、奪われたりした人たちも数えきれないほどおられるであろう。
まさに戦争がそうであるように、だ。
それらの方々が、自分の人生だけをやり直すために、他の人たちの人生や命を力で奪い、世界を破壊できるとしたら、ワンダのような行為に手を染めるであろう。
だが、それでは、ロシアのプーチンがしていることと違いがないではないかね。
利己のために多くの他者の命や人生を奪うがごとき行為は、決して許されることではないよ。
あまりにもその点が乱雑過ぎて、せっかくのストレンジの恋バナや、ソーサラースプリームとして生きるウォンの誠実さや、他の映画やドラマから参入してきたヒーローたちなどに意識が向かなくなってしまったよ。
カーターが愛する人の役を生きていることや、今回の最重要人物である、マルチバースを自由に行き来できるアメリカという女の子のことなども、なにやら意識外へ飛ばされてしまったよ。
ワンダとは真逆で、サノスは利他の塊のような素晴らしいヴィランだったなぁ、と、つくづく思わされた作品だったよ。
そして何よりも、なぜゾンビ映画まで取り込んでしまったのか、だな。
最悪のちゃんこ鍋映画になってしまっていたよ。
兎にも角にも、なにやら、とてもスケールが小さな映画だったよ。
最先端CGに頼り切った、内容が希薄な作品だったよ。
アイアンマンからエンドゲームまでの全作品と、X-MENシリーズ全作品を4K UHD Blu-rayを購入しているファンとして、もう少し、なんとかならなかったのだろうか、と思えてならない。
以上が私の「主観的な」感想だよ。