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ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネスのplantseedsのネタバレレビュー・内容・結末

4.6

このレビューはネタバレを含みます

『過去があって、今がある』

リアルタイムで劇場鑑賞。
先日、ディズニープラスで再鑑賞。

MCUとは思えないぐらい、サム・ライミ監督の良さが存分に発揮されていた印象。
アース838、別アースでの容赦ない描写の数々に再鑑賞を躊躇するほどでした。

正直、ノーウェイホームが微妙だった勢の自分にとって、その後味の悪さを完全に払拭してくれたMCUの新作でした。


その理由として大きいのは、マルチバースの解釈の違いです。

ノーウェイホームでは、大雑把に言うと、「過去は変えることができる」という解釈のもと、過去作を救済していました。
それは、嬉しいことな反面、「なんでもあり感」が非常に出てしまい、自分は興冷めに感じてしまう、というのがノーウェイホームにのれなかった理由でした。

ですが今作では、マルチバースを描きながら、自分の過ち、過去を救済されるキャラクターはいません。
ワンダが顕著ですが、ワンダが願う望みは何ひとつ叶えられません。
ワンダ闇堕ちルートと思っていなかったので、本当に救われなさすぎて、悲しすぎる…

ラストで、自分の過ちを嘆くアメリカ・チャベス。
それに反して、ストレンジは、「いつも正しい場所に連れて行ってくれた」と、言います。

確かにアメリカは、能力をコントロールできずに、両親と離れ離れになったりと、自分のせいでいろいろな事件を起こしているとも解釈できます。

ですが、ストレンジが言うように、その過去があったからこそ今があるということ。
過去の過ちはどんなことをやっても変えられない。だからこそ、その過去を踏まえて今を生きていく。
そう生きていくことで、失敗と思えた過去ですら、価値あるもの、これでよかったんだと、思えるものに変えていけるのだと。

長くなってしまいましたが、単なるMCUの新作以上に得たものが大きかった作品になりました。
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