このレビューはネタバレを含みます
『過去があって、今がある』
リアルタイムで劇場鑑賞。
先日、ディズニープラスで再鑑賞。
MCUとは思えないぐらい、サム・ライミ監督の良さが存分に発揮されていた印象。
アース838、別アースでの容赦ない描写の数々に再鑑賞を躊躇するほどでした。
正直、ノーウェイホームが微妙だった勢の自分にとって、その後味の悪さを完全に払拭してくれたMCUの新作でした。
その理由として大きいのは、マルチバースの解釈の違いです。
ノーウェイホームでは、大雑把に言うと、「過去は変えることができる」という解釈のもと、過去作を救済していました。
それは、嬉しいことな反面、「なんでもあり感」が非常に出てしまい、自分は興冷めに感じてしまう、というのがノーウェイホームにのれなかった理由でした。
ですが今作では、マルチバースを描きながら、自分の過ち、過去を救済されるキャラクターはいません。
ワンダが顕著ですが、ワンダが願う望みは何ひとつ叶えられません。
ワンダ闇堕ちルートと思っていなかったので、本当に救われなさすぎて、悲しすぎる…
ラストで、自分の過ちを嘆くアメリカ・チャベス。
それに反して、ストレンジは、「いつも正しい場所に連れて行ってくれた」と、言います。
確かにアメリカは、能力をコントロールできずに、両親と離れ離れになったりと、自分のせいでいろいろな事件を起こしているとも解釈できます。
ですが、ストレンジが言うように、その過去があったからこそ今があるということ。
過去の過ちはどんなことをやっても変えられない。だからこそ、その過去を踏まえて今を生きていく。
そう生きていくことで、失敗と思えた過去ですら、価値あるもの、これでよかったんだと、思えるものに変えていけるのだと。
長くなってしまいましたが、単なるMCUの新作以上に得たものが大きかった作品になりました。