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モーターヘッド クリーン・ユア・クロックのblacknessfallのレビュー・感想・評価

5.0
タワーレコードだろうがHMV、ディスクユニオンからブックオフまでモーターヘッドはヘヴィ・メタルのコーナーに置いてある。
活動してたフィールドだってメタルだしそれは当然のこと。
しかし、モーターヘッドのファンはメタラーだけじゃない。「メタルは嫌いだけどモーター・ヘッドだけは好き」なんて言う人まで少なからずいる。

初めてモーターヘッドを観たのはアルバム「1916」の来日だった。
当時の自分は完全なピュア・メタラーで周りもそんな友達ばかりだった。
なので会場付近まで来て驚いた。大型バイクが数十台あって周りでアメリカのバイカー、ヘルズエンジェルスみたいな厳つい人達がたむろってるし、その数メートル先にはモヒカン・鋲ジャンのエクスプロイテッドやG.B.Hのメンバーみたいな気合いの入りまくったパンクスがいた。
当時の外国のメタル・バンドの来日ライヴなんて、長髪、パッチGジャンのメタラーが一番派手な人で、あとは、バンT着てるぐらいで見た目は本当に地味な人、下手すればオタクにしか見えないダサい人がいるぐらいで(しかし、この時はまだ少数派だったはずなのに、今のメタラーはオタク・ルックのおっさんが主流派だよね?何でこんなことに、、)。

モーターヘッドのファンには色んなトライヴの人がいると情報では知ってたけど、「あ、こーゆーことなのか!!」とそれを目の当たりにした衝撃は計り知れなかった。
だって、同時期に観たメタリカやハロウィンやシンデレラの時はパンクスやバイカーなんていなかったから笑

当時、不思議に思った「何でメタルじゃないやつが俺達(ピュア・メタラー)のモーターヘッドを聴いてんだ?!」って。

そしてクリーン・ユア・クロック。レミーの死の1ヶ月前のパフォーマンスを記録した公式ライヴ映像。

スクリーンの前には「1916」のライヴ時のようにバイカー、メタラー、パンクスがシートを埋め尽くしてた。
1916の時はピュア・メタラーだったおれは現在、軸足ハードコア・パンクスのエクストリーム・ミュージック好きに。
当時と同じようにモーターヘッドの演奏に魅了され数々の名曲に酔しれた。

要するにモーター・ヘッドはラウドでノイジー、スピーディーでハイエナジーな音が好きな人全てに刺さる普遍的な魅力を持ったバンドだってことだと思う。メタルだとかパンクだとか定義付けはモーターヘッドには意味がねえ。

でも、こーゆー話になるとすぐ「じゃあロックてことでいいじゃん」てことを言う人が出てくるんだけど、今時、ロックなんて言っても何一つ説明したことにならないし安易と言うか陳腐ですらあるよ。
そんな陳腐なロジックに先回りしてクギを刺す意味で、あえておれはモーター・ヘッドはラウドでノイジーなパンクロックだと言っておく(自分で定義付けは無意味と言っときながら😂)。

テキトーに言ってるわけじゃないよ。
今回の上映、歌詞の字幕つきだったんだよ。思ってたよりシリアスでポリティカルなものがあった。それこそ下手なパンクバンドの歌詞よりパンクなフレーズが。
just cos you got the powerの一節
"国の半分を買える金を持ってても、品位が1つも身についてねえ 権力者だからって何でも思いどおりにできると思うなよ!"
完全にパンクだよ笑
レミーぐらい破格の男になると本人の自覚とは関係なしにパンク(反骨精神)を内包してるんだよ😬💨
そして、この曲に入るmcでレミーはこう言ってた。
「これは政治家や経営者どもについての曲だ!!」
元ハードコア・パンクス、現アパレル銭ゲバのzozo澤さん、聴いてますかモーターヘッド😀?
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