ゆかちん

クーリエ:最高機密の運び屋のゆかちんのレビュー・感想・評価

3.3
ズシンときたし、役者さんたちの演技で余韻が大きい。

米ソ冷戦・キューバ危機。
歴史を学べば出てくる出来事。
当時は大変な緊張感だったと授業では習い、そらそうやろなとは思うもののピンと来なかった学生の頃。
ただ、キューバ危機といっても政治家たちだけの話ではなく、その裏で、国を裏切っても世界平和を願う気持ちで動いた人、それに応じた一般人。
その中の友情。。。
こんなことがあったのかとズンときた。


1960年、米ソは互いに核兵器を増強し睨み合い、第三次世界大戦の恐れもあった。
イギリスのセールスマン、グレヴィル・ウィン(ベネディクト・カンバーバッチ)は、MI6とCIAの依頼で情報の運び屋としての役割を引き受けることになった。東欧に仕事で訪れる一般人ならソ連に怪しまれないと考えられて白羽の矢が立ったからだ。
それから2年間、ウィンは家族の反対に直面しつつも、ソ連側の内通者であるオレグ・ペンコフスキー=アレックス(メラーブ・ニニッゼ)からの情報を運搬し続けた。
ウィンたちが命がけでもたらした情報は世界を救うことになるのだがーーー。



実話だからどうなるかなんて決まってるんだろうけど、どうか全員助かってくれと願いながら、ずっとソワソワ心配しまくり。



「世界が変わるのは、我々のようなところからかもしれないな」というアレックスの言葉の重み。



スパイ映画とも言えるし、実話に基づく話とのことで彼らの功績を示す作品ではある。
でも、この作品の根の部分から伝わってくるのは、本当にピュアな、1人の人間としての友情と世界平和への願い。

アレックスはソ連を憎んでいたのではない。
ただ家族を守りたい、戦争してほしくない。
そのシンプルな気持ちからのこと。

その気持ちは、ウィンも同じ。
きっと、西側東側関係なく、普通の人たちは皆そう思っていたと思う。


アレックスを切るしかないかと判断したMI6に対し、ウィンは彼を助けるために命をかける行動を取ろうとし、CIAのエミリーもそれに乗る。
ウィンのその勇気に感動するし、スパイたちもそれに乗るのは、人間を感じてよかった。
ただ、それが良かったのかどうなのかはわからない。
でも、ウィンとアレックスが一度でも会えたのなら良かったのかな。。でも犠牲も多いのかな。。


ウィンとアレックスが白鳥の湖を観劇したときの2人の表情がグッときた。
カンバーバッチ先生の涙目が素晴らしい。
最後のシーンが、今後の展開を表すかのよう。


捕まってしまった後は辛い。人権無視だなぁ。
カンバーバッチ先生の坊主と激痩せ演技に驚いた!!役者魂!
どうやったのカンバーバッチ先生。
めちゃくちゃ他の映画も沢山出てるのに。
悲壮で見ていて辛かった。
でも、ずっと耐えてきたの、本当にすごい。
実際のウィンさん本当にすごい。


アレックスが最後までウィンについては守ったことが、
彼の人としての良さを感じた。
ウィンは彼にキューバ危機を危機で終わらせたと本当に彼に伝えたのだろうか。
アレックスは処刑されてしまったけど、ウィンの「You did it!!!」に救われたのだろうか。。。
それを聞いていたKGBの人たちの複雑な顔。
国を裏切ったけど、戦争を回避し、多くの人の命と生活…自分も自分の家族も含めて…を守ったといえば、そうだもんなぁ。


内通者と運び屋という関係ではなく、2人の友情は純粋で確かなもので、本当に美しいと思った。

歴史を動かしているのは、きっと、教科書に出てこないこういう人たちなんだろうな。

そして、政治家や国同士がどうであれ、
普通の人と人は、国も何も関係なく、
分かり合えるし、友情だって生まれるのではないかな…と思える。



今も北朝鮮が核開発をし、中国やロシアの緊張感。
香港やミャンマーはあんなことになるし、アフガニスタンも政権が揺らいでいる。


一人一人のそばにある愛や友情を守るという、
本当に身近な願いを叶えることの大切さ。
世界平和を願う気持ちが、これからも続いてほしいな。


アレックス…オレグのおかげで今の世界があるともいえるんやろうな。
感謝しなければ。。
ゆかちん

ゆかちん