永遠の寂しんぼ

クーリエ:最高機密の運び屋の永遠の寂しんぼのレビュー・感想・評価

3.8
『スパイだって人間だもの』

米ソ冷戦の佳境、キューバ危機の裏側で西側のスパイとして動いていた英国人セールスマンの実話を元にした映画。

とりあえずカンバーバッチの役作り&体作りは凄い。最初はMI6の依頼でしぶしぶ任務を引き受けていた主人公だったが、任を重ねるごとに情報を流しているソ連人の内通者との友情が芽生えていき、最後は彼の為に危険を承知で自らソ連行きを訴えるのが良い。MI6やCIAの人物の事情も多少描かれていたけど、自ら危険な任務を民間人に依頼しておきながら、結果的にソ連に捕らえられてしまった主人公を助けようとはしない、はたから見たら見捨てたのと同じ諜報機関や国家の冷徹さも垣間見える。冷戦に勝つ大義の為なら民間人1人の命を見捨てるのもやむ無しって事なのかな?

が、実話ベースの映画にありがちだけど話運びは全体的に淡々としていてあんまりスリリングな展開はない。ソ連側のスパイが資料倉庫みたいなところで軍事機密の写真こっそり撮るシーンが何度かあるけど、普通ならそこで部屋に誰か来ちゃってピンチ!とかになりそうだけど、全くならず。

とは言え、キューバ危機ってあと一歩で核戦争始まっちゃう寸前まで行っちゃったものらしいし、人類を救う一助となったおじさん2人の物語は映画で描く価値は十分あったと思う。脚色で美化してる部分はあるだろうけど、人類を救ったヒーローだもん、地味って言っちゃ失礼だよね。