横並びのテーブルで食事をする一家
それが暗示しているものは
「誰も向き合わない家族の縮図」
「冷たい熱帯魚」はこの映画を参考にしたんじゃないか？
って思える位冷め切った家族の関係。
勉強が出来ない（やる気が無い）息子茂之が受験を控え、これはまずいってな訳で成績をあげる為に、やってきた松田優作演じる家庭教師 吉本。
今まで松田優作作品は、野獣、死すべしや遊戯シリーズ、蘇る金狼などをレビューしてきたが、本作の役柄が一番普通っぽい役柄ではある。
・・・が松田優作が平凡な演技をする訳もなく、基本的に感情をあまり表に出さないが、時に冷酷に、時にひょうひょうとした演技と表情が非常に多彩で、そのギャップが時に笑いを誘う。
家族に見放され甘ったれた精神の子供 茂之を、スパルタ式でビシビシ指導していく。だが、彼こそが家族の誰よりもちゃんと茂之と向き合っていた。
学校内のいじめ問題も内包しており、吉本との出会いを経て 茂之自身も徐々に成長していく。
良い成績で良い高校に入ったものの恋愛にうつつを抜かす兄
責任を負いきれず、他人に責任を押しつけがちな母親
仕事を理由に子供と向きあおうともしない父親
子供は家庭環境や出会った人によって、良くも悪くも影響を受けてしまうんだなぁと改めて感じた。
そして終盤の衝撃展開（キャシー塚本を彷彿とさせる）を迎え、視聴者の溜まりに溜まったカタルシスは一旦消化される。
そして、吉本はこの劇から退席する。
結末のヘリコプターの音が止まない不穏な空気感は、これからこの一家に訪れる何かを暗示させているかのようで非常に不気味に感じた。
