イホウジン

ワイルドツアーのイホウジンのレビュー・感想・評価

ワイルドツアー(2018年製作の映画)
4.0
登場人物のやり取りで終始ニヤニヤが止まらない。

大枠は監督の前作(製作はほぼ同時期か?)の「きみの鳥は歌える」と類似している。男2人に女1人の友情とも愛情とも言い表せない絶妙な三角関係が中心となる映画である。前作と違うのは、その関係の中に“大学生”と“中学生”という溝を作り出している点だろう。どちらも別の意味で大人とも子どもとも捉えられない状態で、その不安定さがこの映画全体における最大の魅力となっている。
実験的な映像表現を用いつつも、ストーリーはとても洗練されている。映画と直接関係の無い映像も多いなかで、限られた時間内で見事に起承転結がなされている。登場人物の心理の汲み取り方は見事。言葉では言い表せないような複雑な感情も、現場の風景や生活音,日用品,ファッション,間延びした映像などを使って巧みに表現している。前作でもそれに驚かされたが、それよりも小規模な映画でこのクオリティを達成出来たのが本当にすごい。

ドキュメンタリーパートが本当にドキュメンタリーだった。
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