シノミー

宮本から君へのシノミーのレビュー・感想・評価

宮本から君へ(2019年製作の映画)
4.7
男と女。人生すべてを懸けて勝たねばならぬ喧嘩がある。

ヤベー映画に出会ってしまった。
なんで去年映画館で観なかったんだ。
池松壮亮と蒼井優。
このふたりの演技力は底無しだ。

なんという熱量。
なんという漢気。
血と涙と熱と愛と根性をごちゃ混ぜにして一度崩壊させて、また作り直す。

そんな映画だった。
こんなに演技力に引き込まれた映画は初めてかもしれない。
静的な演技で魅せる類ではなかった。この映画は完全に動的で、性的で、暴力的で、どこまでいっても気合でねじ伏せるものだった。

この映画を観て、結婚に対する意識が変わる。
俺が幸せにしてやる!この心意気で宮本は生きていた。それ以外などない。入る余地すらない。
この男に言わせてみれば、最早愛さえあればなんとでもなるのだ。

誰が誰を好きだとか、あれはこうだから無理とか理屈じゃねぇんだ。
ただそこに、君が好きだという事実があるだけ。
それだけなんだ。だから、それに立ち塞がるものは誰であろうと、何人だろうとぶっ倒す。
池松くんが撮影のために歯を全部抜いて臨もうとした理由がわかった。(さすがに医者に止められました)

靖子もそうだ。
こっちは腹に子ども抱えて生きているんだ。柔な精神じゃ持たない。
私は私だ。他の何者でもなく、嫌いなものは嫌いだ。その確固たる意思が凄まじい。
自分の意思を貫き通す。それ以外など何も関係ない。

なんて映画だ。人生、勝負だらけだ。
絶対に負けられない、男の生涯を懸けて挑む物語だ。
この世界で一番輝いていて、幸せなのかもしれない。
シノミー

シノミー