こなつ

無垢なる証人のこなつのレビュー・感想・評価

無垢なる証人(2019年製作の映画)
4.0
殺人容疑者の弁護士とその事件の唯一の目撃者だが自閉症という少女ジウ。誠実に生きていくこと、良い人であり続けることは何と難しいのだろう。それでも真実に向かって突き進もうとする二人の真摯な物語に心打たれる。

第5回ロッテシナリオ公募展で大賞を獲得した作品を基に映画化された。

人権派弁護士として長年信念を貫いてきた弁護士スノ(チョン・ウソン)だったが、家庭の事情で給料の高い大手の弁護士事務所と契約していた。俗物になると決めたスノが、ある殺人事件の容疑者の弁護を引き受ける。その事件の唯一の目撃者であるジウ(キム・ヒャンギ)は自閉症の少女だった。自分の世界に入り込み、意思疎通が難しいジウはなかなか心を開かない。そんな二人が法廷で弁護士と証人として向き合うことになって、、、

2人の間の信頼関係が生まれてくる様子がとても丁寧に描かれていて、演出の上手さを感じる。ジウにはハンカチの水玉など即座に数を数える能力や、極度に敏感な聴力で他の人には聞こえない小さな物音や声が聞こえるという能力が備わっていた。

「自閉症でなかったらジウではない」という母の言葉。

「普通と違うことが必ずしも劣っているとは限らない」スノは自分が失っていた良心を取り戻そうと、働いている弁護士事務所に逆らっても真実を明らかにしていく。

「頭の中の消しゴム」のチョン・ウソンはワイルド全開の魅力だったが、大人になって落ち着いた(もう50歳?)正統派のチョン・ウソンもなかなか良かった。「十八歳の瞬間」というドラマで何て可愛い女優さんと思っていたキム・ヒャンギが自閉症という難しい役を熱演している。

温かさに溢れたヒューマンドラマ。
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