さすらいの旅人

ボーダー 二つの世界のさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

ボーダー 二つの世界(2018年製作の映画)
3.8
北欧の深い森と湖はミステリーでいっぱいだ。Amazon Prime 配信視聴。
第71回カンヌ国際映画祭ある視点部門グランプリ受賞作品。

ジャンルで言えばホラーかファンタジー風ミステリーと言える難しい部類だ。
そして観終わった後、「見てはいけないものを見た」と言う胸騒ぎを感じるほどの衝撃作だ。
このザワザワした気持ちは、所詮作り話だとは分かっているが、映像が非常にリアルなため、現実的に思えるから不思議さだ。

主人公ティーナの特殊能力を持っている人物像が面白い。ネアンデルタール人みたいな原始人タイプの顔を持ち、嗅覚の鋭い動物みたいな表情も見せる。さすが、アカデミー賞のメイキャップ部門にノミネートされただけある。
彼女の勤務中に出会う旅行者ボーレによって、彼女は本能的に目覚めて行く…。

彼女が冷たい雨の日全裸で森の湖で水浴びをするシーンが凄い。失礼ながらポッチャリした体形で、見た目は悪いが妙に生々しく感じる。何故か「ミッドサマー」のおばあちゃんの全裸を見た気分である。
映像は暗く重い。カラット晴れたシーンはほとんどない。夜の雨や雷、そして自然の動物たちが効果的に使用され、映画の世界観を作り上げている。

彼女はいったい何者なのか。映画後半から徐々に彼女の正体が明らかになって行く。それは、性別や人間の境界線をも飛び越え、正常と異常の境目さえ超える世界なのだ。その世界は映画「ローズマリーの赤ちゃん」に似ている。