シリアのアルカイダ系ヌスラ戦線で活動する父親とその息子たちに密着したドキュメンタリー。
ウサマ、アイマンという息子たちの名前はいかに父親がイスラム原理主義に心酔しているかを表している。
兄弟喧嘩では「殺せ」とヤジが飛び交い、地雷ごっこで盛り上がる(炸裂音にびびった…)。まだあどけない未子は兄とともに鳥を殺した話に誇らしげだ。
これがイスラム原理主義者のもとに生まれ育つということなのだ。息子たちは父親を尊敬し、父もまた息子たちを愛してやまない。そして父はすぐにでも息子を神に捧げることができるという。
父親に問いてみたい。
目に入れても痛くないほど溺愛しているその末子も、あなたは自分の心に痛みを持つことなく神に捧げることができるのかと。
自分の家族を守るため、故郷シリアを捨てベルリンに移住した監督は、どのような気持ちで彼らを撮っていたのだろう。
自分のものであって自分のものではない命で生きていく少年たちの未来に暗澹とするしかない。