監督の筒井真理子愛が止まらない。
美しさ、無邪気さ、不気味さ、可愛らしさ、妖艶さ、怖さ。ときに少女のような若々しさを見せたかと思えば娼婦のような毒々しさもある。瞳を震わせるだけで感情を表すことができる真理子さまを、市川実日子の闇と共に存分に堪能する作品。
（池松くんはいつもの池松くん。それ以上でもそれ以下でもなかった）
音の使い方が相変わらず不穏。
日常的な音が時に暴力に変わる。
人の思いも同じ。
「淵に立つ」に比べて何が怖いのか何が不快なのか割とはっきりしている分、我々の溜飲を下げてくれ！真理子さま！と願わずにはいられないのだけど、そんなことがしたかったのかよ真理子さま…という虚しさと残響がなんとも言えない謎の余韻を残す。
たとえそこにあるのは空虚だけだとしても、前を見据える真理子さまはやはり美しい。
たまに入る妄想（夢）カットが結構ふざけてると思うんだけど、雰囲気的に笑いづらいのよね…
