深田晃司作品。
評判の良かった前作「淵に立つ」は、正直作品全体としては?がつくところも多かった。
ただ、独特の息苦しささとか、徐々に怖いことが迫ってくる感とか、
だからこその平和な描写でもなんか落ち着かない感とかは際立っていたな。
そして、本作。主演も同じく筒井真理子。
筒井真理子の存在感も
映画としての完成度も前作からそーとーグレードアップしたと思う。
まずは脚本がとても優れている!と感じました。
多くを書くとネタバレになるので、気をつけて書きますが、
時制の違い、視点の違いを巧みに構成されている。
何でもない、意味のないように思える出来事が、例えば会話が、
後々とても重要なものに変容していくさまの巧さ。
特に、ある場所での、あのたわいもない小さな秘密話が、、、
む、む、怖いよな〜
やっぱ、ネタバレじゃないと書けないわ
甥っ子の事件があった後でも、市川実日子はずっと筒井真理子の味方だった。
それが決定的に決裂してしまう、あの喫茶店のシーン!
日本映画では珍しく、ゾッと^^; 鳥肌が立ったよ→「凶悪」以来かな
1番親密で、仲間だと思っていた人が、
最も憎い。
例えば、筒井真理子は、もっと憎むべき相手はいるのに、
市川実日子だって、あれほど筒井真理子を支えていたのに、もっと憎むべき相手はいたのに、
これは日本映画では珍しく、「憎しみ」という感情を正面から描いた作品である。
憎しみのベクトルは、時に論理的ではないのだ。
なぜ、あなたはその人を、その人たちをそこまで憎むのか、
憎しみに凝り固まっている人、例えば今の日本にもうじゃうじゃいるレイシストたち
もそう。
そこには、一旦できてしまった憎しみのベクトルに、人は支配されてしまうのだ。
「淵に立つ」に比べて、物語の締め方も
うまい。
これも前には普通だった横断歩道を、うまく見せてるなあ〜
池松壮亮がまた美容師で、笑っちゃった(^○^)