ぐるぐるシュルツ

FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティーのぐるぐるシュルツのレビュー・感想・評価

3.7
人々は何を求めている?
自分たちは、それをわかってる?

〜〜〜

起業家のビリーが引き起こした、幻のファイア・フェス事件を追うNetflixドキュメンタリー。

恥ずかしながらファイア・フェスについては、今年動画配信サービスで話題になるまで全く知りませんでした。
鑑賞してみて、
実際にこんなことが起こるのかと唖然とします。
(ちなみに、米国のHuluでは、ビリー本人の取材を中心とした、このドキュメンタリーに対抗する作品が配信されています)


ビリーのソシオパス的側面が全て元凶だと切り捨てたくなりますが、
果たして原因はそれだけなのでしょうか。

彼の持つカリスマ性に多くの人が惹きつけられた事実、
開催不可能とわかっているのにイベントを誰も止められない泥沼状態、
SNSを通じて浮き彫りになる、深く根付く憧れや理想への渇望。
それを嘲ながらも、どこか羨ましくもある感情。

誰もがきっと心当たりがあるような気がします。
少なくとも、僕は、これらの絶望感に共感できしまいました。
(他意はないですが、どこか日本人っぽさもありますよね、この事件)

やっぱり、
情報によって人々の価値が弄ばせれているような感覚になります。
ファイア・フェスのPR動画だって、今見ても心惹かれてしまいますし。


そして、何よりも
この作品を含めて、
批判、二次創作、引用、全て、
ビリーがこの世の中に生み出した”価値”でもあるんだと思うとゾッとします。

この時代・文化が生んだ歪な遺産は、確実に新たなお金も生み出している。

僕らは加害者なのか被害者なのか傍観者なのか。
何が悪いのか、何が良かったのか、
答えがわからなくなります。