さいとう

メトロポリスのさいとうのレビュー・感想・評価

メトロポリス(1927年製作の映画)
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恐ろしい程、現代を映す物語。

格差による二極化がもたらす歪み。
あっという間に支配されてしまう全体主義の脅威。
責任転嫁で自分たちの行いは省みない。

そして、すべての犠牲は子供たちへと皺寄せされてしまう。
最悪の状況になるまで気づけないことは今も同じ。

„地下“(労働者)が水浸しになっても、“地上“(支配者)は何事もなかったように動き、生活を謳歌している。
このシーンがまさに『パラサイト』で、100年前に描かれた未来が現在に繋がってしまっていること、本作が映画界に与えた影響の大きさがわかる。

約100年前にこの映画が作られたことに驚嘆すると同時に、未来を示す作品がありながらも変わることが出来なかった・出来ないでいる人間の愚かさを強く感じる。

調停者は現れるけど、“頭“と“手“っていう概念は変わらないのが恐ろしくもある。

今回は映画に合わせた生演奏上映を初体験。
最初こそ音楽だけが“そこ“にあるような違和感があったけど、作品のためのオーダーメイドの演奏と所々に混じる機械的な音が作品と調和して、立体的に感じさせる。
普通に見るのとはまた全然違う体験で、めちゃくちゃ楽しかった!!
他の作品でも生演奏上映行ってみたいな〜。

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近未来、メトロポリスでは富裕層である支配者が“頭“となり、労働者達はその“手“として、皆が同じ制服を着て、機械の歯車のように地下で働いている。支配者の息子フレーダーは労働者層の娘マリアと出会い、初めて労働者層の生活を知り衝撃を受けるなか、メトロポリスをめぐる思惑が動き始める。