テレビに頻出している役者やタレントを大量に安易に起用した提灯映画かなとさほど期待もせずに見たのですが……これが殺陣も迫力あったし、何よりも京都での殺戮シーンの数々は「リアルを追及するんだ」という気概を強く感じました。特に伊藤英明演じる芹沢鴨の暗殺シーンは倒した襖越しに女もろともぶっすぶす刀で串刺しにしたり、池田屋襲撃ではまだ敵の息があるにも関わらず新撰組隊士が疲労困憊のあまり疲れ果ててすぐそばに座り込んでいるのがリアルな残酷を感じました😅
それにしても新撰組という組織の暴力性が改めてよく分かる内容だった。多摩の百姓の出である連中が武士になるべく会津藩の威光の元に尊皇攘夷派の浪士殺戮を繰り返し、隙あらば清河八郎や芹沢鴨といった上役をも暗殺し、極限まで厳しくした隊内規律に背いたものは即切腹させて最強の戦闘集団になりあがる。ここまでまで良かったものの大政奉還した徳川慶喜に梯子を外されて今度は朝敵として五稜郭まで戦い抜くという司馬遼太郎の小説で描かれた悲運の反逆ヒーローというイメージは実に強固です。
いつの間にか本格的なアクション俳優になった岡田准一が魅せる殺陣も良かったです。山田涼介演じる沖田総司もイメージにマッチしていましたし、山田裕貴演じる心神喪失状態の徳川慶喜も良かったですね。
また新撰組の一般隊士や薩長浪士の配役も実に渋い役者ばかりでチャラチャラしたのがいなかったのが実に評価高いです。個人的には藤堂平助を演じた金田哲や大阪商人出の密偵・山崎を演じた村本大輔が、お笑い芸人ながら陰険な顔つきが活かされて出過ぎた演技でなかったのも実に好感が持てました。
