しの

窮鼠はチーズの夢を見るのしののネタバレレビュー・内容・結末

窮鼠はチーズの夢を見る(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

恋愛において「優しい」ってなんだろう、と考える映画でした。
今まで優しくされたい、大切にされたいという甘い恋を理想としていたけど、それだけではどこか満たされず知佳子さんの気持ちもよくわかった。
「流されるままの恋愛」をしている彼が
「非の打ち所のない旦那様」と形容される場面では結婚をしていてもお互いが表面を滑るような理想の結婚生活のように見えた。

下記覚え書き

とにかく演技が良かった。
大倉くんの透き通る笑みも、成田くんの湿度のある目も、あんなに椅子が似合う役者さんいないよ…

2人が進展していくシーン、マンションのオシャレさにだいぶ驚いたのが第一印象。
前の家とガラリと雰囲気が違い彼女の言葉を待ったないそうなのだなと感じた。

いくら恭一が流される男だとしても携帯まで見せていいのか、とは思ったが全力で隠さず逆に全てを見られても良いという精神は好きだった。

今ケ瀬と夏生が飲食店で話す場面
率直に
「引いてください」
「こっちもだいぶギリギリのところでやってるんで」
「恭一のビールを飲む」
と全力なところがグッときた。

たまきさんは
「ただの平社員がこんなに泣いていたらおかしい」
という自分の立場を理解した上での行動に胸を打たれたが
「前と同じ失敗はしたくない」
「1週間前に届いていたカーテン」
「見つけた灰皿」
「リクエストされた煮込み料理」
から本音を隠し恭一にそれでも良いと恋をするあたり、本当にこのような女性に好かれるのだなと。

振り向いて貰えない相手に7年。
私にはとても考えられない。
これが恋ではなく愛なんだなと知った。

「心底惚れるって全てにおいてその人だけが例外になる」
これが愛なら

「思った通りの生活じゃなかった、好きな言葉をかけてくれなかった、料理の好みが違った」
理想通りに行かなかったことを新しい彼が知れたと喜ぶのではなく、冷めてしまうのは恋かとも思った

だからワイン飲みたくないって言ったのに、海で全力で叫ぶくらい、喪服に着いた異性の影で乱れるくらい愛ってする方もされる方もなかなか覚悟がいると思った。
しの

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