真田ピロシキ

ドラゴンクエスト ユア・ストーリーの真田ピロシキのネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

何か凄い事をやらかしてしまってる事は聞いててその内容も大体想像がついてたので身構えながら見たのですが。正直に言います。「何言ってんだ山崎お前」という思いから始まり次第に吹き出しました。アホやードラクエの映画でマトリックスを始めちゃったよアンダーソン君。ビアンカはトリニティーじゃないんだよ!非実在彼女なんだよ!でも説教してるかあ?あの説教魔ミルドラースは間違ってるとしてちゃんと打ち倒されたし、あれで現実に引き戻されたと感じる人はナイーブ過ぎるように感じます。名作のLEGOムービーにだってああいう瞬間あったよ。あっちは吹き出さないのでこれはその辺のやり方が下手だって事なのでしょうが。

奇を衒わず最後まで王道のドラクエを真面目にやれば良かったのになあと思います。ディズニーピクサーやドリームワークスにも劣らない3DCGアニメで各キャラクターの表情が良く、スライムの柔さやメタルスライムの硬さなど質感も抜群。あと樽に入って脱出する時の臭そうな感じも上手く出ておりその後の「臭そうな青年」という言葉が印象に残る。これぞRPGの華と言わんばかりに戦闘シーンも気合入ってて縦横無尽軽快に動き回り派手に呪文を放つ姿は見てて楽しい。特にゲマ決戦時の助っ人の大軍を引き連れてのバトルはクライマックスに相応しく大盛りあがり間違いなし。その直後にアホ展開しなければつくづく完璧だった。ドラクエのアニメと言うと今『ダイの大冒険』をやってますが、正直この手法で作って欲しいくらいの気持ちすら少しあります。

話は5分でパパスが死んで、王様にならなかったり子供に娘がいなかったり駆け足と改変があるものの、最早朧げな記憶の限りではドラクエVを的確にまとめられていたと感じられました。ドラクエV最大の論争ポイントとされるビアンカ・フローラ問題は無難な落し所に収まった感じ。あのフローラの行動は何が何でもビアンカという意志が感じられ製作者に呆れてた。一応超展開の方で理屈としては正しいように描かれているものの、超展開によるとオリジナルのSFC版準拠らしくそれならフローラに子供の頃からの顔馴染み設定付けなくても良かったかと。ドットで出会いを表現されてたけどPS2リメイクの追加要素だよね?なお流石にデボラはいない。因みに私は子供の頃、特に考えずにフローラにしたらボロクソに言われたのでビアンカ派をパパスの仇の様に思ってます。つまりゲマだ。フローラ、イオナズン覚えるんだぞチクショーめ。そう言えばこのアニメ、イオ系呪文が全然使われなかったような。ドラクエの主人公は無個性のプレイヤー反映型ですが、本作の主人公リュカはなかなか面白いキャラ付けをされており、キラーパンサーのゲレゲレやブオーンなど強いモンスターにはビビるし、フローラと結婚が決まった時には普通に浮かれるように俗っぽい。歴代ドラクエ主人公の中でも特に不幸属性が強いために重いキャラクターを思い浮かべていたのだが、それを良い意味で裏切ってくれて面白かった。そんな軽い兄ちゃんが肉体的にも精神的にも強く成長する姿は正しくRPGのレベルアップのようじゃないか。これで普通にミルドラースを倒して終わってくれたらもっと高い評価だったんだけどなあ。でも山崎貴映画の中では好意的に見れた方です。寄生獣以来かも。