タキ

グレース・オブ・ゴッド 告発の時のタキのレビュー・感想・評価

3.8
すぐ謝るのは反省してないからだと子供の頃、弟が親によく叱られていたのを思い出す。謝ったじゃないかじゃああとはどうしろっていうんだよというのが教会側の言い分だろうか。悪ガキの悪戯ならいざしらず、大人が児童虐待しといて謝ってすむなら警察も司法もいらないと返すしかない。しかしのらりくらりと被害者からの追及をかわし逃げ切る自信があるのはカトリックという強大な組織がバックについているからなのだ。
スポットライトはアメリカの記者の視点から描いた話だったが、こちらはフランスリヨン教区の3人の被害者のそれぞれの教会へのアプローチを主に描いている。神父による児童への性虐待はおそらく判を押したように世界中で同じ出来事があるのだろうと容易に想像できる。彼らにとって教会とその信者を敵に回すということがどれほどの負荷になっているか、家族が壊れることもあるかもしれないし、そこでの生業がたちゆかなくなる危険もある。それゆえ声を上げることすらできない人もいるのだ。
プレナ神父への処罰には近づけてもアメリカの時と同様にやはり真実を追うものも被害者も「教会の沈黙」に苦しめられることになる。神父と枢機卿ふたりを尻尾切りして終わった感が否めない。
私のような信仰を持たぬ人間には映画にでてきた教会側に立つ人の独善的な考え方に嫌悪感しかないが被害者でありながらアレクサンドルのように信仰を捨てないひともいてそこに1番ビックリした。それとこれは別なんだと思わせる強固な信仰心が裏を返せばちょっと怖いような気もする。
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