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パドルトンのKtoのレビュー・感想・評価

パドルトン(2019年製作の映画)
3.5
【説明】
安楽死に臨む男とその友人との淡々とした会話劇形式で進む、インディータッチのマンブルコア映画

※マンブルコア=低予算で、無名の俳優や素人が普段の会話のように自然に演じる作品 (参考:https://www.cinematoday.jp/page/A0007162)

【感想と考察】
すね毛、白い靴下、膝上短パン、剃らない髭、ぷっくり出た腹…”冴えない中年男”の全要素を詰め込んだような二人が、低温調理の如くスローテンポで会話し続ける映画だった。

大半の会話がほぼアドリブだという。
「なんか映画観たいけどヘビーなものは疲れるし、恋愛物も気分じゃないし…」って時に片手間に観てもいいぐらいの温度感だった。どこのだれでもない二人の人生を少し覗き見る感覚。映画をたくさん観る人なら、必ずこういうスタイルの映画はたまに観たくなるよね…。

デスパンチがカンフー映画じゃなくて哲学だとか、サンドオフとか、”per leg”ならダチョウが世界で一番速いとか、しょうもない会話を延々とし続けるんだけど、そこには確実に「部屋の中の象」現象としてマイケルの末期癌が存在していて、物悲しい。ペットの名前は前に言っただろ!は笑った。

アドリブなのに、二人が程よい距離感でお互いを思いやるやりとりが染みる。緑トレーナーのやりとり(fatty pork、パズルが終わると君は悲しそうだ)とか激萌え。

ホテルを死んだ夫だと言う女、それを引用するマイケル。スローテンポな軽い会話劇だと思っていると、急に真に迫る会話が入ってきて不意をつかれる瞬間があって、とてもよかった。
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