かず

赤い闇 スターリンの冷たい大地でのかずのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

世界恐慌時に西洋諸国から賞賛されたスターリン政権下におけるソ連社会主義の影で起こっていたホロモドール(人為的飢饉)を暴いた実在のジャーナリスト、ガレス・ジョーンズの評伝と並行して、
スターリンの圧政によるソ連社会主義を戯画化したジョージ・オーウェルの『動物農場』の執筆過程が描かれる。


『動物農場』に出てくる、
「すべての動物は平等である。だが、一部の動物は他よりもっと平等である。」
というスローガンは、"圧政者による見せかけの民主主義"の欺瞞を見事に表すものとして非常に有名だ。

現代では失われかけているジャーナリズムを貫く主人公の姿勢に背筋が伸びるが、
当時から見た未来である2021年現在からすると、フェイクニュースや政治的判断でソ連の虐殺を肯定しようとする多数派の人たちの愚かさが目に余る。


遠い将来に歴史の正しい側に立つために、長期的視野と歴史観をもって、遠い将来にどう判断されるかを考えることの大切さが身に沁みる。


最後の字幕が辛い。



・歴史的大飢饉「ホロドモール」はなぜ起きたのか 隠蔽されていた歴史
https://eleminist.com/article/1106
"ホロドモールとは、1932〜1933年にかけてウクライナ人が住んでいた地域で起きた人為的な大飢饉である。当時のウクライナは、ヨシフ・スターリンが最高指導者を務める旧ソ連の統治下にあった。
この出来事は、飢饉を意味する「ホロド」と、疫病や苦死を表す「モール」を合わせて、「ホロドモール」と呼ばれている。オスマン帝国のアルメニア人虐殺や、ナチス・ドイツが行ったユダヤ人に対するホロコーストなどと並んで、20世紀最大の悲劇のひとつとされている。"



・ソ連国民はなぜ、そしていかに飢えたか:内戦期に始まる飢餓の歴史を振り返る
https://jp.rbth.com/history/83730-soren-kiga-no-rekishi/amp
"1932~1933年の飢餓の結果、700万人以上が亡くなった。犠牲者の半分以上がウクライナ人だった。この事実は、現代ウクライナの研究者たちが次のように考える口実となった。すなわち、この飢餓は、ソ連政府がウクライナ人を標的にした大量虐殺である、と。この「大量虐殺」を彼らは、「ホロドモール(ゴロドモール)」と呼んでいる。
 しかしロシアでは、別の見方がなされている。それによると、共産主義政権のこの悪政は、特定の民族を狙ったものではなく、当時のソ連における多くの地域と民族に打撃を与えている。 "


https://www.banger.jp/movie/40963/
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