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チャイルド・プレイのblacknessfallのレビュー・感想・評価

チャイルド・プレイ(2019年製作の映画)
3.9
こういうホラーのビッグネームのリメイクやリブートはつまらないのが多いからスルーしてたんだよ。それに『チャイルドプレイ』はホラー・コメディに舵を切った『チャッキーの花嫁』と『チャッキーの種』の方が好きなんで1作目をやられてもなぁて気持ちもあって。

もっと早く観ればよかった。オリジナルより完成度高いしおもしれーじゃんかよ😃
現代にアップデートしたので普通にゴア・スプラッターは強化されていてここはアベレージなんだけど、殺し方やそこまでの段取りに工夫を凝らしている。チャッキー、本作ではAI化してるんでやれることが多いんだよ。車まで遠隔操作する派手な殺しもあってボティカウントは控えだけど物足りなさは感じない😏

チャッキーの殺しの動機が持ち主の少年アンディのためなのがエモい。アンディはシングルマザー家庭で母とは仲がいいけど、お母さんの彼氏とは折り合いが悪い。で、この彼氏はシンママの相手に有りがちな自分本意なモラハラ野郎で少年のことを疎ましく思ってる。もともと付け入る隙がある女だからアンディの母親と付き合ってるだけなんでマジでアンディに対して酷いんだよ。
理不尽な叱責と脅しを受けた後の「あいつなんか死ねばいいんだ!」というアンディの呪詛を真摯に受け取り少年のためにクズ野郎を惨殺するチャッキー。ここは自分も母子家庭で比較的クズとよく付き合っていた母を持った身としてカタルシスがあった笑 アンディの孤独と絶望が怒りと苦悩が痛いほど分かるため物語に没入できた。
チャッキーの自我は少年を悲しませるヤツは殺す。俺(チャッキー)とアンディの仲を引き裂くヤツを殺す。
純水に少年を愛している。誠実で超いいヤツなんだよチャッキー😍
あれだよ『さすがの猿飛』の魔子ちゃんと肉丸の関係だよな🥷
肉丸「魔子 ちゃん い・じ・め・た」😠👊
チャッキー 「アンディ い・じ・め・た」😡🔪

しかし、自我持ったとは言え根が禍々しいバグで庶民的なAIベースなんで機微が読み取れない。上述のようにクズを殺してしまうし、アンディが仲間達とホラー映画(悪魔のいけにえ2)の殺害シーンで爆笑してるのを「これやればアンディが喜ぶ🤩」と飛躍した解釈でアンディのダチの1人をナイフで刺そうして場を恐怖とカオスにしてしまう笑
このチャッキーが誤解し殺らかすキッカケを示唆するシーンの演出巧みで、こりゃやべぇ🤭、とワクワクする。王道な演出でオリジナリティーはないけど堅実且つスリリング。

このアンディとチャッキーの心のすれ違いが大惨劇を引き起こすわけなんだけど、そこまでの仕立てがアンディとその仲間達との争いと友情、アンディとチャッキーの愛憎劇が絡み合う完全に子供(チャッキー含め)達だけの世界の物語、ジュブナイル調にスイッチする。ここのドラマとしての完成度が高い。仲間と共にチャッキーに立ち向かうところが『イット』的でもあるし、何より質感、トーンが少年時代特有の翳りと輝きをスラッシャー/スプラッターに見事に落とし込むホラー職人、ホラーファン以外からはアンダーソンではない方でお馴染みのウェス・クレイブン監督を彷彿とさせる。
際立った描写や作家性はないがホラーのツボとチャッキーの特性を活かしたスラッシャー映画の優等生的な良作。この監督ただ者ではないかも🦆
この監督になら、おれのフェイバリット・クレイブン・ティーンズホラー『デッドリー・フレンド』のリメイクを任せてもいいと思った。てか、撮ってくれ!
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