やんげき

シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッションのやんげきのレビュー・感想・評価

3.7
こんなに原作の温度感を実写で感じさせる作品は滅多にない。ありがとうと心から言いたい!

アバンシーンから、アニメシティーハンター冴羽獠の声優、神谷明を端役で投入するところから掴みは抜群だが、その身体を張ったアクションとお下劣なコメディをシリアス顔でやるバランスが見事にシティーハンターだ。

この身体を張っている点とお下劣というパートが実は大事だったと後で気づいた。

シティーハンターは、お下劣で90年代の良くも悪くもおっさん的なロマンと欲望を具現化した目線が多分に含まれている。それなくして、表現する事はできない。変に政治的なものなど一切意識せず、突っ走って行く下ネタ、愛護精神などかけらも無い動物やバイオレンスを多用したネタなど突き抜け方が100点満点だ。

見ず知らずの男の整形手術室で海坊主と獠がドンパチを始め、男の股間にある拳銃スミスウェッジを奪い合うという滑稽なシーン(しかも隠し切れない陰部はカラスマークで隠すという往年のジャンプスタイル)から全開だが、1番はやはりエンディングの入り方だろう。

ゲットワイルドがかかるだけでも涙ものなのに、この入り方がもう!アニメ版を熟知し完コピしている。ラスト、シリアスがひと段落した辺りで、イントロがかかり始め、ちょいエロなシーンに被るように香が獠に100tハンマーをお見舞いするお約束の形でストップモーションしフェードアウトの後、歌に入る。完璧なまでのアニメのEDへのリスペクト。

2019年に、映画館で、しかもフランス映画で、このエンディングを拝めるとは思ってもいなかった…

素晴らしい。この姿勢、再現性こそリスペクトに満ちたリメイク作品の真の姿だ。
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