やんげき

アメリカン・フィクションのやんげきのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
3.6
白人主体の賞レースの痛烈な皮肉を込めた本作がアカデミー賞とっちゃうという現実世界を含めて何重にも楽しめる作品。

逆に言うとハイコンテクスト過ぎて、素直に観るとコメディというには、クレバーで社会的過ぎるし、社会派というには、緩く、切迫感がない半端な印象を受ける気がする。

「グリーンブック」を彷彿とさせるインテリジェンスな黒人主人公というアップデートのもののガワをもっているが、中身はカンヌが好きそうな皮肉MAXな「フィクション」なステレオタイプ黒人像を演じる中に、「アメリカで暮らす黒人」であることの窮屈さを感じる居心地悪いラスト。

ハッピーエンドも過剰なほど悲劇的なラストも用意はされていることで、なお釈然としない気持ちが付き纏う。社会的なイシューが自分ごととして刺されると、どんなコンテンツであれ落ち着かないものだが、その不安定さが癖になるとも言えるのかもしれない。

私はどうにもこの人種問題ジョークにはどう笑えば良いか分からず、ユーモアであるべき皮肉を真面目な顔をして観てしまったので、多分あんまりマッチしなかったのだと思う。
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