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転がるビー玉のmiuのレビュー・感想・評価

転がるビー玉(2019年製作の映画)
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そういえば変わりゆく街に自分だけ置いてけぼりの気分になるのは渋谷で映画を観た後が多かった。スクランブルスクエアもパルコも気付けば完成していて、忙しなくもエネルギーのある渋谷という街が好き、どうしようもなく。雑多な感情を街が受け入れてくれるみたいで。思い出が街の至る所に転がっている。
擦り切れるくらいにがむしゃらだった以前の自分と、消耗しすぎない頑張り方を覚えた気がする今の自分では、きっと目に映る渋谷は違う。どちらが良いとか、がむしゃらに頑張ることを正当化するつもりなどないけれどあの時の自分にはもう戻ることは出来ないと思うと、やはり少し寂しい。
人間誰しもたりない部分があってもよくて、それ故に痛みを分かることができたり、癒すこともできる。たとえ欠けた断面はでこぼこだったとしても、そこから乱反射するかのように様々な方向へと放たれる光はきっとその人にしかないものだ。不格好でも転がり続ける様は、誰かを照らす希望にもなるかもしれない。保証なんてないけれど。
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