RAY

スキャンダルのRAYのレビュー・感想・評価

スキャンダル(2019年製作の映画)
3.9
「面白かった」と言うと、この作品に関しては少し違うのかもしれない。
もちろん、映画としては「面白い」。それは間違いないと思います。
けれど、それ以上に考えさせられることがあまりにも重要である気がして、それはこの映画の最も大切な要素でもあったのかもしれません。


そのことについて書く前に、先に俳優陣について書いておきたいと思います。
シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビー。
この3人が主役となる今作。
この映画にとって、この3人の配役はこれ以上ないものであった気がします。
3人それぞれの存在感は際立っていたし、むしろ、存在感がなければ、それぞれの配役は務まらなかったのではないかとさえ思います。
それ程それぞれの役どころは重要であり難しいものであったと思うのですが、非常に素晴らしい演技だったと思います。

では、この映画におけるテーマについて思ったことなのですが、たとえば、“セクハラ”だとか“女性の社会的地位”についてだとか、比較的目に見えるテーマについてはもちろんなのですが、いちばん大事なのは、“潜在的”蔑視の様な感覚ではないかと感じました。
映画ではその対象が女性でしたが、たとえ男性に対してであっても存在する感覚であると思います。

人間の価値を比較することは出来ません。
だけど、競争社会においては、無意識のうちに自身の発想を成長させることよりも、他人よりも同じことが上手く出来ることに比重をおいてしまいます。
これは仕方がないことであるのかもしれませんが、やはり、この映画を観て思うのは、パーソナリティを育成、尊重することは“潜在的”蔑視を無くすことにも繋がるのではないかと言うことです。


随分偉そうにツラツラと書いてしまいましたが、彼女たちの演技を見ていると、“存在感”と言う言葉で表現したものこそが“パーソナリティ”を示していて、本当に力強く、「自分を磨こう。好きになろう」と伝えてくれたのではないかと思えてなりません。


すべての女性だけでなく、すべての人に観てもらいたい作品です。


観て良かった。
RAY

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