ShinMakita

テロルンとルンルンのShinMakitaのレビュー・感想・評価

テロルンとルンルン(2018年製作の映画)
1.9
広島・竹原市。
「テロリスト」と落書きされた寂びれたガレージ。そこには、社会に出られない青年・類が引きこもっていた。ある日、ガレージの窓をしつこく叩いてきた女子高生・瑠海に根負けし、窓を開けてしまう。瑠海は聴覚障がいを持ち、クラスでいじめに遭っていた。社会から爪弾きにされ孤立していた2人。その出会いはやがて周囲に波紋を広げることに…

「テロルンとルンルン」。

以下、ネタバレルンとルンルン。

➖➖➖

観たい映画もなく、たまたま時間が合ったからという理由で仕事帰りの吉祥寺で観ました。話やキャストについて前情報を入れず、1時間程度の中編だから当直明けの疲れた体にはちょうどいいや、くらいの気持ちで行ったわけです。んで観終わって立ち上がると、

なんと誰も席を立たない。劇場明るくなってるのに。 何事かと思ったら「舞台挨拶がありまーす」のアナウンス。ほほう、こりゃ得をしたと再び席に着きました。

現れたのは、瑠海役の主演、小野莉奈さんでした。


…可愛かったです。監督もリモートで登場しましたね。

➖➖➖

さて本編。なかなか可愛いタイトルですが、実はテロルンもルンルンも、主人公たちを虐める側が付けたニックネーム。可愛いあだ名で虐めを軟化させようとする悪意を感じます。そんな虐げられた2人のボーイミーツガール話ではあるものの、生々しかったりファンタジックな恋愛映画ではありません。窓を介して出会い、おもちゃの修理をキッカケに心が触れ合うという展開。引きこもり青年は普段誰とも話さないから声もボソボソ。ヒロインは難聴で、声を出すことを頑なに拒んでいる態度。だから会話がほぼないんです。故に説明セリフは皆無。脇のキャストのガヤや短いセリフ、スマホの画面から状況を汲み取るようになっています。無駄がなくスマートで、なんならサイレント映画の雰囲気。最後の最後にヒロインが一言叫びますが、そのインパクトはチャップリンの「モダンタイムズ」級でしたね。俺的には、もっと全体的に静かな方が良かったなぁ。劇伴が少々うるさかったのがマイナスです。

小野さん目的で観に来る人が多いんでしょうが、彼女以外のキャストも良かったです。類役の岡山天音くんは個性的で、青くて痛くてモアイでも活躍していました。ポスト濱田岳として要注目です。母役の川上麻衣子と西尾まりは、俺世代には刺さるキャスティングで実在感を持って魅せてくれました。西尾まりなんか、パパはニュースキャスターの頃から見てるから、同級生みたいな感じですよ^_^

建て付けが悪く最初は窓が開きづらかったのが、後半スムーズに開くようになる…とか、いじめっ子側のいじめるロジックとか、尺が長ければもっと色々演出・脚本を膨らませただろうなと思いつつ、でも中編だからこそダレずにスパンとエンドマークみたいな清々しさがあるなとかも思いつつ、きちんと楽しみました。小野莉奈さん、「普通」のルックスの中にキラキラしたものを持ったネクストブレイク女優です。アルプススタンドと本作で、応援したくなりました!
ShinMakita

ShinMakita