前作「オリエント急行」のラストで、「次はナイルの事件だ!」ってなってニヤリとしたんだけど、よく考えるとポアロは今回事件発生前からエジプトにいなけりゃならないわけで、本作では「オリエント急行で言及されたナイルの事件を解決し、いったんロンドンに戻ったけれど、またナイルにとんぼ返りだよ」という、実に誰も気にしてないディテールへの言い訳があって面白かった。
1978年ギラーミン版は、10歳のときに劇場で観ました。「ルパン対マモー」と二本立てだった。
あ。今の今まで気付かなかった。名探偵ものと大泥棒ものの二本立てってことですね。
あっちの最大の面白さは、ポアロが全員を犯人だと仮定して推理するのを、全部映像化して見せるという点で、これは小学4年生でもめっちゃ面白かったですよ。
本作にもちょっとそれを期待してたんだけれど、やはりなかったですね。
前作とは、というかオリジナルとは、役名はほぼ忠実に、しかし関係性はいろいろ変えてありましたね。
作家がブルース歌手になってたんで、音楽も楽しめました。
ケネス・ブラナーさんは前作に続き、ポアロの過去や人物像を掘り下げようとしてて、それは別に全面的に面白いとも思わないんだけれど、興味深い試みだとは思うので、続篇があるなら、もっとやってほしいな。
原作からすると随分若いポアロだけれど、塹壕戦を智慧で乗り切るポアロって結構ワクワクしましたよ!
70年代~80年代ポアロでは、次は「クリスタル殺人事件」でしたね。「鏡」がなんとなく、クリスタルな邦題になったのは田中康夫(注1)が流行したからでした。
注1:こういう人が政治家になると率先して人の名刺を破るような無礼なことをやりはじめるんですよ。
(↑「なんクリ」を知らない若い人には伝わらないギャグ)
本作では、ポアロさんは「田舎に引きこもって新種の南瓜とか作るねん!」って言ってはったので、ケネスさんが次に構想してるのはアクロイド殺しなのかもしれません。
あれって、映像化不可能な作品ですよね。
でも、伊坂幸太郎の、映像化不可能な「アヒルと鴨のコインロッカー」も映画化されたわけで、ケネスさん、ぜひやっちゃってください!
その期待も込めて若干水増し評価します!!
家に帰ってくる間、ずっと「ミステリー・ナッハ~イル♪」って歌ってました。サンディー・オニールって言っても若者にゃあ、わかんないよね(苦笑)