今まで観たことがないヒッチコック「鳥」オマージュ、来た~~!!!
ファティ・アキン監督作は、本作でまだ3本しか観てないんだけれど、これがいちばん面白かったかな。
スコセッシ文法で語られる犯罪者の半生。しかも実話。
カターさんって知らなかったけど凄いな。
第一幕が重苦しくて、ハラハラしたり椅子から飛び上がったりして観てたけど、どんどんニヤニヤしちゃう映画に変わってく。
結局ボトル全部割っちゃうところと、「青信号全部スルー」は最高。
入りが結構少なかった有楽町のヒューマントラストシネマでも笑い声が結構聴こえてきましたよ。
全体がスコセッシ文法なんで、改めて「スコセッシってやっぱすごいものを発明したんだな」とアキン監督とスコ監督両方に感服しながら観てたんだけど、まさかの「鳥」オマージュまで来ましたか。
それは、カターが「商売敵」(?)を脅すシーン。
「商売敵」が学校の前で佇んで授業が終わるのを待ってる(自分の娘を迎えに来てる)。
校舎からループのように聞こえる童謡。
「商売敵」は気づかないけれど、自分の後にチンピラがどんどん集まってくる。
いつまでたっても、それにまったく気づかない「商売敵」。
その間にもチンピラたちがわらわらと蝟集してくる。
ふと彼が視線をやると、とうとうひとりのチンピラがこっちにやってくるのに気づく。
そのチンピラの行く先を目で追うと、なんと自分の後にはうじゃうじゃとチンピラどもがいるではないか!!
これって、「鳥」でメラニーが学校の前に佇んでる「ジャングルジムに鈴なりの鴉シーン」とまったく同じ演出ですよね?!
ヒッチさんで最もオマージュないしはパロディされてるのは間違いなく「サイコ」なんだけど、次点は「鳥」です。
ハリポタ1作目で暖炉から手紙がぶわ~~って居間に入りこむところとか、「スクワーム」での「二階に上がって扉を開けたらゴカイがうじゃうじゃ」とか。
でも、この「ジャングルジムに鴉の集団」オマージュはありそうでなかった。
しかも、そのままやってるんじゃなく、「鳥」を「人」に置き換えてる。
ここは何だかとっても嬉しくなりました。
「あ、アキン監督、それわかったよ!」
だもんで、逆に「ここまでは見逃してたけど、ほかにもやってたんだろうな」、「ここから先は見逃さずに気づかねば」みたいな、変なテンションで本作を観ました。結局今書いた「鳥」以外は明確には気づけなかったのが悔しい。
娼館へ入っていくシーンは「タクシードライバー」だろうけど、それは本作に通底するスコセッシ文法だったもんね。
ちなみに、「学校の前にいて、校舎から童謡が聴こえてくる」は「鳥」そのものなんだけど、本作で聴こえてくるのは「Row, Row, Row Your Boat」だったので、そこはイーストウッド×ドン・シーゲルの例の傑作もオマージュしてるのかな、と思ったり。
私のような「子供の頃、ほぼ毎日夜9時からの洋画劇場を見てた世代」には、吹き替えが「漕ぉげ漕げ漕ぉげよっ! ボート漕ぉげよ!」でしたね。中学校に上がって英語の教科書「New Horizon」に載ってた楽譜で歌わされたときに、「あ、これ、スコーピオのやつだ!」ってなったわ。
私は何を書いているのでしょうか……。
まだ週の前半だし、今日は寝ようっと!
(さっき帰ってきて、レビューを書く前にテレビつけたらEテレで早川雪州の特集やってて、それ見ながら先に焼酎呷りまくったのが、雑なレビューになった敗因だわ……)