アラサーちゃん

ニノチカのアラサーちゃんのレビュー・感想・評価

ニノチカ(1939年製作の映画)
4.0
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〖ニノチカ〗
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ぼくたちは世界恋人連盟だ、
腕も挙げない、拳も握らない、敬礼はキス。

やっぱりルビッチの恋愛映画はかわいくておしゃれで素敵。

ちょっと前にフレッド・アステアの〖絹の靴下〗を観たけど、そのオリジナル作品。
共産主義を信奉し、国に忠実に働くニノチカ。彼女に恋したパリの放蕩貴族レオンは、あの手この手で彼女を口説き落とすものの、二人の間には高く屈強な壁が立ちはだかる。

アステア版もミュージカルでライトで楽しい映画でしたが、これもとても楽しい😊

ニノチカの前にパリに派遣される三人のおじさん、コメディターンなんだけど、帽子掛けにかかるお国柄を象徴するロシアン帽がお洒落なシルクハットに変わる場面。
酔ったニノチカがレーニンの写真に話しかけるとレーニンが微笑みかける場面。

ルビッチが仕掛ける楽しくてウキウキするシーンがたくさんあって、それだけでも満足なんだけど、さすが#ソフィスティケイティッドコメディ(※洒落たセリフの応酬が見どころの洗練されたラブコメの種類)といえばのルビッチ映画。

たとえば、こんな会話。
『ニノチカ、僕を好き?』
『容姿は不快じゃないわ。白眼は澄んでいるし、角膜も正常』
そう言い放つニノチカに、レオンはうっとりして彼女を見つめて言う。
『君の角膜も素敵だ…』とか。

キスしていたら時計が鳴り、二人がキスをやめる。
『12時に針は重なり合い、キスをする。素敵だろう?』
『それが時計の働きよ』ばっさり。

せっかくうっとりする場面なのに、あべこべなレオンとニノチカがやりとりするだけでこんなにも楽しい😂
ユーモアがないニノチカと、すべてを包み込んで愛するレオン。二人の心が通じあったあとのニノチカ演じるグレタ・ガルボの美しさはこの世のものではないですほんとに。かわいい。あのへんてこな帽子が似合っていいのはグレタ・ガルボだけである。

ちゃんと恋愛映画の起承転結もしっかりしていて、ストーリーにもだらけたり飽きがこなくて面白いんだよね。
モノクロ映画苦手でも、〖ローマの休日〗が好きとかいう人もいるし、個人的にはああいう切ないラブロマンスよりも、こういうウィットに富んだ小じゃれたラブコメのほうが断然楽しめると思うけどな😊

そういう意味ではルビッチの作品は間違いないです。久々に観てだいぶ忘れていたけど、どのシーンもやっぱり大好き。