あちゃみ

ミッドサマーのあちゃみのネタバレレビュー・内容・結末

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます


感想
これホラーだよね、、、?
明るいところでホラーを描くってめちゃくちゃすごい。天国のような美しい村と善良で笑顔な人々の狂気の怖さ感じさせるの天才では!?
村人たちもカルト集団っていうほど考え方とか偏ってるわけじゃないしむしろ自然信仰ってよくあるし理解できるからそこも逆に怖い。死に方以外は全然受け入れられる。
おまじないが一番ドン引きした、、
最後に致してるけどあんた生理終わったんか、、?飛び降りぐちゃぐちゃも性交のシーンも明るいからなんか笑えるんよね。特に終わった後の赤ちゃんを感じるわ!からの全裸ダッシュで声出して笑った。その後のサイモンが肺?を翼みたいにされて吊るされてるのも結構衝撃だったんだけどそれも目に花がさしてあってユーモアある。

シーンでいうと泣きながら部屋を出たところで飛行機のトイレに切り替わるとこがよかった。
あと食事をするときに端から順番に波のようにみんなが行動する所が良かった。
それと飛び降りがあったときサイモンとコニーが騒ぐ中主人公のダニーは水の中にいるみたいに鼓膜にモヤがかかったような演出もリアルですき。
序盤の村に着いた時に運転している車が反転して一般常識が通用しない物語が始まると言う暗示的なのも良い。

監督のインタビューで
It’s a Wizard of Oz for perverts.
『ミッドサマー』は、変態のための『オズの魔法使』だ。
という物凄いコメントがあって感心。
実は本作は、主要キャラクターの4人が『オズの魔法使』のキャラクターと符合しているとのこと。
・家族を失っても、なお本当の家族を求め続けるダニー=家に帰りたいドロシー
・ダニーと別れる勇気のないクリスチャン=臆病なライオン
・論文の事ばかりで、他人を思いやる心がないジョシュ=心を持たないブリキの木こり
・女の子のことばかり考えているアホなマーク=知恵がないカカシ

めちゃくちゃ考えられてるなぁ。

ホルガ村信仰するのはいわゆるペイガニズム(自然崇拝、多神教)で西欧文明が信仰するキリスト教とは相容れないものであり、ここではダニーたちは異教徒。最後に焼かれるクリスチャンという名前はブラックユーモアというか皮肉というか、、すごい好き。

『ミッドサマー』では“9”という数字がよく出る
・祝祭は90年ごと
・祝祭は9日間
・72歳(9の倍数。7+2=9でもある)になると、儀式によって自ら死ぬ。
・映画のタイトル「Midsummar」も9つのアルファベット
・生贄の数は9人必要である。
内訳外部①:マーク、②:ジョシュ③:サイモン④コニー、ホルガ⑤イルヴァ⑥ダン(飛び降り)⑦イングマール、⑧ウルフ⑨メイクイーンによる選出:クリスチャン

ペレが「人生は一つの季節である」と言っており
・0歳〜18歳(春)子供の季節
・18歳〜36歳(夏)巡礼の旅をする季節
・36歳〜54歳(秋)労働の季節
・54歳〜72歳(冬)人々の師となる季節
この区切り方も、9の倍数。
この日に誕生日を迎えたダニーは、おそらく20代半ば。18歳〜36歳(夏)の中間点であり、まさに“ミッドサマー”。すごい。

あと村の長老によると聖典ルビ・ラダーについては「感情のこもった楽譜」であり書くことができるのは、意図的な近親相姦によって産み出された障害者(=ルベン)のみ。一般的な認知の曇りがないことから、先入観なしに根源を見つめることができるのだというのも背筋が寒くなる。好きに解釈できるってことよね、、

ダニーがバットトリップしたときに体が植物と同化していくシーンがあったけど最終的にダンスで優勝しクイーンに選ばれて花のドレスを纏って完全に自然(をあがめるホルガ村)に同化したところすごい綺麗なのに不気味だった、、


残る疑問は、①妹はなぜ家族を道連れに自殺したのか、②夏至祭に生贄を連れてくるが基準はあるのか(ペレは最初からダニーを女王にしたかった?)、③村はどうやって生計を立てているのか(ペレの留学とかどうやったのか気になる。麻薬売ってるのか?)


あらすじ
妹が両親を道連れに自殺したことを知った大学生のダニーは家族を失った哀しみで、放心状態でベッドに横たわる。ボーイフレンドのクリスチャンを心の拠り所とするが彼は長年付き合った彼女の不安定さに疲れ別れを切り出したいと思いながらも情で慰めていた。彼の友人達は別れるよう勧めるも煮え切らないクリスチャン。そんな状態だから友人達の論文のためにスウェーデンに2週間滞在する予定も直前までダニーに伝えられなかった。
突然のことに困惑するダニー、社交辞令でその滞在に誘うクリスチャンだが意外にもダニーはついてくることに。そうしてクリスチャン、ダニー、交換留学生で地元がスウェーデンのペレ、人類文学科?でスウェーデンの民俗学を研究しているジョシュ、スウェーデン美女とハメを外したいマークの5人でペレの故郷、スウェーデンのホルガ村の90年に一度の夏至を祝う祭りに参加する一向。
車での長旅の末、ホルガ村に到着するとペレと同郷のイングマールと合流。イギリスからやってきたサイモンとコニーを紹介される。
会って早々、イングマールからハッパを勧められるダニーたち。気が進まないものの、めんどくさい奴と思われたくないダニーはハッパをやり、バッドトリップしてしまう。
正気を取り戻した一向は祝祭に参加する。
美しい草花の風景のなか、白い衣装を着たホルガ村の村人たちが踊る様子はさながら天国のような風景だ。司祭のシヴが祝祭の宣言を唱える。
「ミッドサマーおめでとう。前回の“大祝祭”から90年が過ぎました。次の“大祝祭”は90年後です」
村人に案内され寝室用の小屋へと向かう途中、サイモンたちはストーリー仕立てのタペストリーを発見。
・少女がある男性に恋をする
・後ろ向きに花摘みをする少女
・愛情ルーン文字を書いた紙を枕の下に挟んで、恋の魔法をかける
・陰毛を切って食べ物に混入する
・経血を飲み物に混入する
・おまじないが成功し、少女は男性と結ばれる
イングマールがそれをラブストーリーと言う。
共同の寝室小屋で荷解きをする一向。ペレは誕生日のダニーにお祝いの言葉を言うもクリスチャンが忘れていて悲しそうなダニー。しばらくしてケーキで誕生日を祝うクリスチャンだが若干のギクシャク感は拭えない。
その翌日、食事に呼ばれるも食べ物を目の前にかなり長いこと待たされる一向。しばらくして年老いた男女が現れて、無言で彼らに倣う村人たち。どうやらこれも儀式のようだ。男女の合図で食事が始まる。粛々とした雰囲気の中、老人たちが椅子で運ばれて全員で崖に移動。断崖絶壁の上から村人たちを見下ろしていた老婆が投身自殺。村人たちはそれを見て歓声をあげるが他所から参加したものたちはショックのあまり叫んでパニック状態に。特にサイモンとコニーのカップルは抗議の声を上げるも続いて初老の男性が飛び降りる。今度は当たりどころが悪く(?)足が折れたものの息がある。それを見た村人たちは一斉に悲痛の声をあげる。待機していた数人が大きなハンマーのようなものでかわるがわる男性の頭を潰す。
怒り心頭のサイモンとコニーを、村の長・シヴが声を掛け、年を取り続けて苦しむより、彼等にとっては喜びなのだと説明。自分の番が来ても喜んで受け入れると。
耐えられず村を出ると言うダニーに対し、ペレは、自分も同様に両親を失っているのでダニーの気持ちは分かると話し宥める。
人の人生を年齢で春夏秋冬に分ける代々伝わった村の儀式だとダニーを説得。
一方荷物をまとめて村を出る準備を整えたコニーに、村人は、サイモンが先に駅へ向かったと伝える。混乱するコニー、徐々に不穏な雰囲気が訪れる。
衝撃的な体験だったがもともとこの夏至祭を卒論に書こうと決めていたジョッシュに、クリスチャンは自分も同じテーマで書くつもりだと言い始める。これにジョシュは激昂。
ペレは、村の儀式は秘密であり、ルールを定める年長者達が許可しないと反論。食い下がるジョッシュに、一応尋ねてみるとペレは返答。
夜になり、クリスチャンを気に入った村の少女が恋の成就を願い、クリスチャンが眠るベッドの下にお守りを忍ばせる。
翌日、ペレは、場所や人の名前は明かさず、写真撮影も禁止であることを条件に許しが下りたことを伝える。長老たちに経典について質問するジョシュ。撮影は断られたもののどうしても我慢できず夜に神殿に忍び込み、村の古い書をスマホで写真を撮る。そこを背後から頭を殴打され床に血を流して倒れる。
翌朝、先祖の魂と繋がっていると村で信じられている枯木に用を足したマークを、年長者が怒鳴りつける。
食事の時間になり、村の若い女性がマークを笑顔で誘い出しもともとスウェーデン女性と関係することを目論んでいたマークは、一緒に連れ立って席を離れる。
ジョッシュやマークが戻らないまま祭典は進行。ダニーは村の女性達に誘われ、踊りの競争へ参加。皆と同じ服を着て、生花で作られた冠を被って踊り最後まで踊りつづけられた女性がクイーンとなる。
見物する群衆に混じるクリスチャンに、女性が近づき飲み物を提供。言葉が通じないまま飲み干すクリスチャンの視界はほやけ、意識がもうろうとして来る。
そして、ダニーがダンスを続ける中、シヴに呼び出されたクリスチャンは、彼をとても気に入っている村の少女との性行為を勧められる。
頭を振ってクリスチャンが出て来ると、最後まで踊り続けたダニーがマイ・クイーンに選ばれる。
村民全員が祝福しダニーは美しい花で覆われたテーブルの上座に着席。促されるまま、村の豊作を願う儀式へ畑に連れ出される。
その間、クリスチャンは更に薬で精神的自由を奪われ、神殿で全裸の村民女性が歌う前で、彼に思いを寄せる少女との性行為へ導かれる。
畑から戻ったダニーは、神殿から聞こえる歌声に惹かれて鍵穴から中を覗き、ショックを受けて飛び出す。
村民の女性達がダニーを迎える様に周りを囲み、ダニーが泣きわめく声を真似て一緒に叫ぶ。クリスチャンはことを終えると、裸のまま納屋へ走り出す。中へ入ると、内臓を取り出されたサイモンが吊るされており、くり抜いた両目に花が挿入されていた。
動転して振り返った途端、粉の薬を吹きかけられたクリスチャンは失神。
メイ・クイーンの座に着いたダニーは、年長者からクリスチャンの処遇を決めるよう促される。
ダニーは、クリスチャンの死を選択。
村人達は、ジョッシュ、マーク、そしてコニーの首を神殿に飾り付け、村から2人の志願者も壁際に腰掛ける。
そして、剥いだ熊の毛を着させられたクリスチャンは、薬で体が動かせないまま床に座らされる。神殿に火が放たれ、見る見るうちに凄まじい炎が建物を覆う。涙を溜め、悔しそうにその光景を見つめていたダニーの顔に、うっすらと笑顔が浮かぶ。
あちゃみ

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